【報告】持続可能な開発のためのアジア太平洋フォーラム2021サイドイベント開催
2021年3月22日(月)の日本時間15:00-16:00に、国連の持続可能な開発のためのアジア太平洋フォーラム2021のサイドイベントとして「アジアのオルターナティブな開発のための適正な技術選択-持続可能なポストパンデミック社会をめざして-」が開催されました (主催:APEX、共催:認定NPO法人国際協力NGOセンター、Sibol ng Agham at Teknolohiya、The Philippine Rural Reconstruction Movement)。イベントは、オンライン(Zoom)で行われ、計31名が参加されました。このイベントは英語で行われました。

まず、フィリピンで1952年から貧困解消や環境保全のための活動を続けている、PRRM(Philippine Rural Reconstruction Movement、フィリピン農村復興運動)のアドボカシー・開発協力ディレクター、レベッカ・マライ氏より、開会の言葉をいただきました。コロナ禍において、「適正な技術選択」は一層重要性を増しており、脆弱な立場に置かれた人々のエンパワーメントにつながるような選択が望まれる、とお話しいただきました。

次に、APEX代表理事の田中直から、〈持続可能な開発のための適正な技術選択に関する包括的フレームワーク〉の説明と、適正な技術選択の実例として、インドネシアでのコミュニティ排水処理技術に関する紹介がありました。このフレームワークでは、今日の世界が直面している問題を、「貧困・格差の問題」、「環境・資源の問題」、「人間・労働疎外の問題」という三つの側面からとらえ、それぞれの問題を緩和・解決していく技術のあり方を、10の原則にまとめたものです。開発途上国の技術選択にも、先進国の技術選択にも適用でき、それに沿って技術選択を行えば、持続可能な開発目標(SDGs)の多くを達成できるように設計されています。紹介があった排水処理技術は、APEXがこれまでにインドネシアで普及を進めてきたものですが、技術が適用される現場の状況に適し、仕事の機会を創出し、環境にも調和的で、人々がコントロールできる技術であることから、フレームワークの原則に沿った、適正な技術選択と言える、との説明がありました。

続いて、フィリピンにおいて、環境とも調和し、住民が参加しやすい技術の開発と普及を重視した活動に取り組んでいるSibol ng Agham at Teknolohiya(SIBAT)代表のエストレーラ・カタラータ氏より、SIBATが取り組まれているコミュニティベースの再生可能エネルギーシステム(CBRES)についてご発表いただきました。CBRESの原則は、環境と調和的であること、コミュニティで管理できる技術であること、など、包括的フレームワークの原則と重なる部分も多いと思われました。

最後に、一般社団法人SDGs 市民社会ネットワーク(SDGsジャパン)政策担当顧問の稲場雅紀氏よりコメントをいただきました。これまで、技術は人々の意思やニーズとは関係なく開発・適用されてきたのに対し、APEXで提案している包括的フレームワークは、技術と人間の関係を再定義し、技術は人々の合意の上で選択されていくべきものとしている点で画期的である、とお話しいただきました。
内容が盛りだくさんだったために、少し時間をオーバーしてしまいましたが、さまざまな方々の助けを借りて、無事終えることができました。ご協力そしてご参加いただいたみなさま、本当にありがとうございました。
(ジェンキンソン 陽(みなみ))

まず、フィリピンで1952年から貧困解消や環境保全のための活動を続けている、PRRM(Philippine Rural Reconstruction Movement、フィリピン農村復興運動)のアドボカシー・開発協力ディレクター、レベッカ・マライ氏より、開会の言葉をいただきました。コロナ禍において、「適正な技術選択」は一層重要性を増しており、脆弱な立場に置かれた人々のエンパワーメントにつながるような選択が望まれる、とお話しいただきました。

次に、APEX代表理事の田中直から、〈持続可能な開発のための適正な技術選択に関する包括的フレームワーク〉の説明と、適正な技術選択の実例として、インドネシアでのコミュニティ排水処理技術に関する紹介がありました。このフレームワークでは、今日の世界が直面している問題を、「貧困・格差の問題」、「環境・資源の問題」、「人間・労働疎外の問題」という三つの側面からとらえ、それぞれの問題を緩和・解決していく技術のあり方を、10の原則にまとめたものです。開発途上国の技術選択にも、先進国の技術選択にも適用でき、それに沿って技術選択を行えば、持続可能な開発目標(SDGs)の多くを達成できるように設計されています。紹介があった排水処理技術は、APEXがこれまでにインドネシアで普及を進めてきたものですが、技術が適用される現場の状況に適し、仕事の機会を創出し、環境にも調和的で、人々がコントロールできる技術であることから、フレームワークの原則に沿った、適正な技術選択と言える、との説明がありました。

続いて、フィリピンにおいて、環境とも調和し、住民が参加しやすい技術の開発と普及を重視した活動に取り組んでいるSibol ng Agham at Teknolohiya(SIBAT)代表のエストレーラ・カタラータ氏より、SIBATが取り組まれているコミュニティベースの再生可能エネルギーシステム(CBRES)についてご発表いただきました。CBRESの原則は、環境と調和的であること、コミュニティで管理できる技術であること、など、包括的フレームワークの原則と重なる部分も多いと思われました。

最後に、一般社団法人SDGs 市民社会ネットワーク(SDGsジャパン)政策担当顧問の稲場雅紀氏よりコメントをいただきました。これまで、技術は人々の意思やニーズとは関係なく開発・適用されてきたのに対し、APEXで提案している包括的フレームワークは、技術と人間の関係を再定義し、技術は人々の合意の上で選択されていくべきものとしている点で画期的である、とお話しいただきました。
内容が盛りだくさんだったために、少し時間をオーバーしてしまいましたが、さまざまな方々の助けを借りて、無事終えることができました。ご協力そしてご参加いただいたみなさま、本当にありがとうございました。
(ジェンキンソン 陽(みなみ))
【報告】第9回適正技術フォーラム「脱炭素社会の構築と適正な技術選択」
2021年2月27日(土)に第9回適正技術フォーラム「脱炭素社会の構築と適正な技術選択」が、オンライン(Zoom)で開催されました。今回は、56名(講師・スタッフ含む)の方々にご参加いただきました。ご参加いただいた方々、誠にありがとうございました。

まず、基調講演として、公益財団法人地球環境戦略研究機関参与、西岡秀三氏より、「脱炭素社会と適正技術」というタイトルでお話をいただきました。詳細なデータに基づき、気候変動の危機的状況や、「炭素予算(気温上昇を一定の範囲に抑えるための、今後の人為的二酸化炭素総排出量の限度)」に基づくこれからのCO2排出シナリオ、気候変動対策における市民の役割等をご説明いただきました。また、革新的イノベーションとしてあげられる技術は、「非適正技術」が多いという点について、懸念を示されました。

次に、足利大学理事長の牛山泉氏より、「洋上風力発電が開く世界-脱炭素の最有力手段」というテーマで、講演がありました。温暖化防止には、再生可能エネルギーの導入拡大が必須ですが、とりわけ洋上風力発電は大きなポテンシャルを持つことを、海外の事例なども交えながらお話をいただきました。再エネ海域利用法の施行により、洋上風力発電導入の環境は整いつつあることや、現状の国内の開発計画などについても解説いただきました。

最後に、特定非営利活動法人APEX代表理事/適正技術フォーラム共同代表の田中直から、「脱炭素社会構築のための適正な技術選択に関する提言」の発表がありました。この提言では、これまでの低炭素化・脱炭素化の検討の多くが、既存の産業・経済の基本的なあり方や方向性は維持しつつ、そこにおけるエネルギー供給を省エネ・再エネ等で置き換えていく、いわば「同型置換」的な考え方でなされてきたのに対し、持続可能な形で供給できる資源の側からの脱炭素社会構想へと根本的に転換していくことを提案しています。合わせて、小規模分散型システムが重視されるべきこと、市民・住民参加型の技術選択がなされるべきこと、不確実な技術に依存しないこと、などが盛り込まれています。

続くパネルディスカッションでは、國學院大學研究開発推進機構客員教授古沢広祐氏にモデレーターをお願いし、参加者からの質疑や提言について、3名のパネリスト(講師)にお答えいただきました。細かい調整点は今後あるかもしれませんが、大枠では、<脱炭素社会構築のための適正な技術選択に関する提言>は賛同を得たと考えられ、発信が開始されました。
今後も、オンラインでのイベントが多くなるかと存じますが、ぜひ積極的にご参加いただけますと嬉しいです。

まず、基調講演として、公益財団法人地球環境戦略研究機関参与、西岡秀三氏より、「脱炭素社会と適正技術」というタイトルでお話をいただきました。詳細なデータに基づき、気候変動の危機的状況や、「炭素予算(気温上昇を一定の範囲に抑えるための、今後の人為的二酸化炭素総排出量の限度)」に基づくこれからのCO2排出シナリオ、気候変動対策における市民の役割等をご説明いただきました。また、革新的イノベーションとしてあげられる技術は、「非適正技術」が多いという点について、懸念を示されました。

次に、足利大学理事長の牛山泉氏より、「洋上風力発電が開く世界-脱炭素の最有力手段」というテーマで、講演がありました。温暖化防止には、再生可能エネルギーの導入拡大が必須ですが、とりわけ洋上風力発電は大きなポテンシャルを持つことを、海外の事例なども交えながらお話をいただきました。再エネ海域利用法の施行により、洋上風力発電導入の環境は整いつつあることや、現状の国内の開発計画などについても解説いただきました。

最後に、特定非営利活動法人APEX代表理事/適正技術フォーラム共同代表の田中直から、「脱炭素社会構築のための適正な技術選択に関する提言」の発表がありました。この提言では、これまでの低炭素化・脱炭素化の検討の多くが、既存の産業・経済の基本的なあり方や方向性は維持しつつ、そこにおけるエネルギー供給を省エネ・再エネ等で置き換えていく、いわば「同型置換」的な考え方でなされてきたのに対し、持続可能な形で供給できる資源の側からの脱炭素社会構想へと根本的に転換していくことを提案しています。合わせて、小規模分散型システムが重視されるべきこと、市民・住民参加型の技術選択がなされるべきこと、不確実な技術に依存しないこと、などが盛り込まれています。

続くパネルディスカッションでは、國學院大學研究開発推進機構客員教授古沢広祐氏にモデレーターをお願いし、参加者からの質疑や提言について、3名のパネリスト(講師)にお答えいただきました。細かい調整点は今後あるかもしれませんが、大枠では、<脱炭素社会構築のための適正な技術選択に関する提言>は賛同を得たと考えられ、発信が開始されました。
今後も、オンラインでのイベントが多くなるかと存じますが、ぜひ積極的にご参加いただけますと嬉しいです。
冬季休業のお知らせ
日ごろより、APEXの活動にご理解、ご協力をいただきまして、ありがとうございます。
APEXでは、下記の期間を休業としますので、お知らせいたします。
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■冬季休業期間
2020年12月25日(金)~2021年1月7日(木)
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冬季休業期間中のお問い合わせは、メールでいただけばさいわいです。
休業期間中はご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解のほど、お願いいたします。
APEXでは、下記の期間を休業としますので、お知らせいたします。
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■冬季休業期間
2020年12月25日(金)~2021年1月7日(木)
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休業期間中はご不便をおかけいたしますが、何卒ご理解のほど、お願いいたします。