貧困人口1年で11%増 インドネシア物価急騰響く
9月5日付の日経新聞朝刊にインドネシアの貧困人口増加の記事が載っていました。
2006年3月時点で貧困人口は前年比11%増の3905万人、総人口に対する貧困者比率は2005年:15.97%に対して、2006年:17.75%だったそうです(インドネシア中央統計局発表)。これはアジア通貨危機後の1999年以来最大の比率とのこと。
2005年10月に石油製品大幅値上げを政府が実施、物価が急騰したのが原因と見られているようです。1人当たり月間所得が152,847ルピア以下(約1,940円以下)を貧困層と定義しているそうです。
(APEX彦坂)
2006年3月時点で貧困人口は前年比11%増の3905万人、総人口に対する貧困者比率は2005年:15.97%に対して、2006年:17.75%だったそうです(インドネシア中央統計局発表)。これはアジア通貨危機後の1999年以来最大の比率とのこと。
2005年10月に石油製品大幅値上げを政府が実施、物価が急騰したのが原因と見られているようです。1人当たり月間所得が152,847ルピア以下(約1,940円以下)を貧困層と定義しているそうです。
(APEX彦坂)
ジャワ島中部地震救援活動(9/13)
(9月13日)
被災者救援活動のモニタリング調査に出かけるディアン・デサ財団のスプリさん、カムトさんに同行して、バントゥル県の地震の現場を回りました。今回訪ねたのは、県中部のプレレット郡と、南部で海に近いプンドン郡です。さすがに、もう瓦礫がそのまま放置されているところはまれで、道すがら、普通の農村風景を見ているような気になる地域もありました。ただ、まだテントも数多く残り、にわかづくりの仮設の家が多いです。
ディアン・デサ財団の復興支援活動は、MCK(トイレ、水浴び場、洗濯場に兼用する施設)づくり、井戸の修復、浄水の供給の三つが主なものですが、プレレット郡のスゴロヨソ村に着くと、いつもバイオマスのパイロットプラントなどでお世話になっているディアン・デサ財団の工場の人たちが井戸の清掃に当たっていました。ディーゼル発電機で電気を供給しつつ水中ポンプを動かし、泥水の出た井戸を掃除するものです。現在、合計5台のポンプで清掃し、その後、水場や支柱など井戸周りの整備を行っています。この井戸の修復活動に関しては、既に清掃を済ませたもの約1000件、そのうち井戸周りの整備まで終わったもの約200件とのこと(9月13日現在)。目標は1000件なので、今まで手をつけている範囲で既に目標には達しています。しかし、まだまだ住民からの希望は多く、今後どこまで続けるか検討中です。
次にプンドン郡のスリハルドノ村へ行きました。ここでもディアン・デサ財団の工場のスタッフが井戸の修復に当たっていました。近くに小学校(右図)があるので、立ち寄って校長先生に話を聞いてみました。この小学校は、校舎がつぶれはしなかったものの、建物に亀裂が入って使える状態になく、校庭にテントを張ってそこで授業しています。UNICEF等の援助で建物を修復するメドは立っているようです。生徒は130人ですが、近々近隣の村から94人が移ってくるとのこと。何か必要なものは、と聞くと、ノートや筆記用具など生徒が使うものはあるが、教師への支援が少なく、今はパソコンのプリンターが壊れて困っているそうです。現在、地域の住民が必要としているものは、セメント/砂、鉄筋、瓦、石、釘などの建材とのことでした。職業は小作農民が多いですが、他にスナック・揚げ物づくりなどの家内産業もあり、ジョクジャカルタ市内でベチャの運転手をしている人もいるそうです。多くの人は仕事に戻っているとのこと。
スリハルドノ村でディアン・デサ財団がつくったMCKも見に行きました。MCKは目標4000家族分に対して、既に完成したものと現在工事中のものとを合わせると649ユニット(9月13日現在)になるそうで、1ユニットは平均7家族で使われるため、今手がけているものができると目標を上回ります。しかし、井戸同様、それ以外にも多数要望があり、上積みも検討中です。MCKの横に住んでいた女性は、地震以前からご主人と別居していて、縫製の仕事をやりながら三人の子供を養っているそうですが、いまだにテント暮らしでした。今でもトラウマがあり、トラックが通って揺れても恐い気がするとのこと。
ディアン・デサ財団の救援活動としては、これ以外に浄水を毎日45トン程度配給していることがあります。5トンのプラスチックバッグに入れてトラックで運び、現場に設置された同様のバッグに移していくもので、45トンのうち、およそ15トンはムラピ山の火砕流の被災者向け、残りの30トンがバントゥル県など地震の被災地向けです。井戸の回復などによって必要が薄れたところは、適宜バッグの設置場所を移動しているそうです。
雨季も間近となり、今後はやはり住宅の問題が気になります。テント住まいの人、身の回りで手に入る材料で仮設住宅をつくっている人、恒久住宅を建設している人、また、それらの併用や、仮設のようでもあり恒久のようでもある家もあって状態はさまざまです。早く政府の住宅復興支援金が下りてほしいですが、いまだに実現していません。現在は、住民に均等分けするのか、被害の度合いや収入によって格差をつけて配るのか、という問題でもめているそうです。ディアン・デサ財団の救援活動も既に3ケ月半になりますが、どこまでやればいいのか、何をもって締めとするのか、が問われる段階になっていると思います。
テントの横で鉄筋入りの恒久住宅の建設が始まっているところもある。
(田中直)
被災者救援活動のモニタリング調査に出かけるディアン・デサ財団のスプリさん、カムトさんに同行して、バントゥル県の地震の現場を回りました。今回訪ねたのは、県中部のプレレット郡と、南部で海に近いプンドン郡です。さすがに、もう瓦礫がそのまま放置されているところはまれで、道すがら、普通の農村風景を見ているような気になる地域もありました。ただ、まだテントも数多く残り、にわかづくりの仮設の家が多いです。
ディアン・デサ財団の復興支援活動は、MCK(トイレ、水浴び場、洗濯場に兼用する施設)づくり、井戸の修復、浄水の供給の三つが主なものですが、プレレット郡のスゴロヨソ村に着くと、いつもバイオマスのパイロットプラントなどでお世話になっているディアン・デサ財団の工場の人たちが井戸の清掃に当たっていました。ディーゼル発電機で電気を供給しつつ水中ポンプを動かし、泥水の出た井戸を掃除するものです。現在、合計5台のポンプで清掃し、その後、水場や支柱など井戸周りの整備を行っています。この井戸の修復活動に関しては、既に清掃を済ませたもの約1000件、そのうち井戸周りの整備まで終わったもの約200件とのこと(9月13日現在)。目標は1000件なので、今まで手をつけている範囲で既に目標には達しています。しかし、まだまだ住民からの希望は多く、今後どこまで続けるか検討中です。
次にプンドン郡のスリハルドノ村へ行きました。ここでもディアン・デサ財団の工場のスタッフが井戸の修復に当たっていました。近くに小学校(右図)があるので、立ち寄って校長先生に話を聞いてみました。この小学校は、校舎がつぶれはしなかったものの、建物に亀裂が入って使える状態になく、校庭にテントを張ってそこで授業しています。UNICEF等の援助で建物を修復するメドは立っているようです。生徒は130人ですが、近々近隣の村から94人が移ってくるとのこと。何か必要なものは、と聞くと、ノートや筆記用具など生徒が使うものはあるが、教師への支援が少なく、今はパソコンのプリンターが壊れて困っているそうです。現在、地域の住民が必要としているものは、セメント/砂、鉄筋、瓦、石、釘などの建材とのことでした。職業は小作農民が多いですが、他にスナック・揚げ物づくりなどの家内産業もあり、ジョクジャカルタ市内でベチャの運転手をしている人もいるそうです。多くの人は仕事に戻っているとのこと。
スリハルドノ村でディアン・デサ財団がつくったMCKも見に行きました。MCKは目標4000家族分に対して、既に完成したものと現在工事中のものとを合わせると649ユニット(9月13日現在)になるそうで、1ユニットは平均7家族で使われるため、今手がけているものができると目標を上回ります。しかし、井戸同様、それ以外にも多数要望があり、上積みも検討中です。MCKの横に住んでいた女性は、地震以前からご主人と別居していて、縫製の仕事をやりながら三人の子供を養っているそうですが、いまだにテント暮らしでした。今でもトラウマがあり、トラックが通って揺れても恐い気がするとのこと。
ディアン・デサ財団の救援活動としては、これ以外に浄水を毎日45トン程度配給していることがあります。5トンのプラスチックバッグに入れてトラックで運び、現場に設置された同様のバッグに移していくもので、45トンのうち、およそ15トンはムラピ山の火砕流の被災者向け、残りの30トンがバントゥル県など地震の被災地向けです。井戸の回復などによって必要が薄れたところは、適宜バッグの設置場所を移動しているそうです。
雨季も間近となり、今後はやはり住宅の問題が気になります。テント住まいの人、身の回りで手に入る材料で仮設住宅をつくっている人、恒久住宅を建設している人、また、それらの併用や、仮設のようでもあり恒久のようでもある家もあって状態はさまざまです。早く政府の住宅復興支援金が下りてほしいですが、いまだに実現していません。現在は、住民に均等分けするのか、被害の度合いや収入によって格差をつけて配るのか、という問題でもめているそうです。ディアン・デサ財団の救援活動も既に3ケ月半になりますが、どこまでやればいいのか、何をもって締めとするのか、が問われる段階になっていると思います。

(田中直)
ジャワ島中部地震支援活動報告会など
APEXの彦坂です。地震関連のイベントのお知らせです。
1.9月17日(日)~23日(土) 11:00~19:00
JVC+管洋志 チャリティ写真展 『アジア育ち』 於:銀座ACギャラリー
日本国際ボランティアセンター(JVC)のご紹介で、7月に地震の被災地に訪ねられた写真家、管洋志さんの写真展です。被災地で撮影した写真をはじめとして、バリ島、ミャンマー、ベトナム、カンボジア、スリランカ、インド、ブータンなどの写真40点が展示されるそうです。入場無料。収益は被災者支援に使われます。
JVC - チャリティ写真展(イベント情報)
2.APEX・JVC合同報告会
「インドネシア ジャワ島中部地震、あれから4ヶ月 被災地はいま・・・」
2006年5月27日、インドネシアのジャワ島でマグニチュード6.3の大地震が発生。5700人を超える人が亡くなり、20万軒以上の家屋に何らかの被害を与えたとされています。この災害を受け、APEX(Asia People’s Exchange)と日本国際ボランティアセンター(JVC)は協働して、現地NGOであるディアン・デサ財団の支援活動を側面から支えてきました。
被災から4ヶ月。ニュースでほとんど報道されることのなくなった現地の人々の暮らしは、いま、どのように変化しているのでしょうか?
被災地を何度も訪れ、復興の様子を見てきたAPEXの田中代表理事と、スマトラ島沖津波被害、パキスタン大地震被害など最近の災害支援に関わってきたJVCのスタッフ(下田氏)が写真を織り交ぜながらお話します。
日時:10月3日(火)19:00~21:00
場所:文京シビックセンター 地下2階 消費生活センター研修室A
参加費用:500円(APEX会員無料/JVC会員無料)
定員:36人
ジャワ中部地震救援活動報告会の詳細とお申し込み
みなさま、ぜひご参加ください。
1.9月17日(日)~23日(土) 11:00~19:00
JVC+管洋志 チャリティ写真展 『アジア育ち』 於:銀座ACギャラリー
日本国際ボランティアセンター(JVC)のご紹介で、7月に地震の被災地に訪ねられた写真家、管洋志さんの写真展です。被災地で撮影した写真をはじめとして、バリ島、ミャンマー、ベトナム、カンボジア、スリランカ、インド、ブータンなどの写真40点が展示されるそうです。入場無料。収益は被災者支援に使われます。
JVC - チャリティ写真展(イベント情報)
2.APEX・JVC合同報告会
「インドネシア ジャワ島中部地震、あれから4ヶ月 被災地はいま・・・」
2006年5月27日、インドネシアのジャワ島でマグニチュード6.3の大地震が発生。5700人を超える人が亡くなり、20万軒以上の家屋に何らかの被害を与えたとされています。この災害を受け、APEX(Asia People’s Exchange)と日本国際ボランティアセンター(JVC)は協働して、現地NGOであるディアン・デサ財団の支援活動を側面から支えてきました。
被災から4ヶ月。ニュースでほとんど報道されることのなくなった現地の人々の暮らしは、いま、どのように変化しているのでしょうか?
被災地を何度も訪れ、復興の様子を見てきたAPEXの田中代表理事と、スマトラ島沖津波被害、パキスタン大地震被害など最近の災害支援に関わってきたJVCのスタッフ(下田氏)が写真を織り交ぜながらお話します。
日時:10月3日(火)19:00~21:00
場所:文京シビックセンター 地下2階 消費生活センター研修室A
参加費用:500円(APEX会員無料/JVC会員無料)
定員:36人
ジャワ中部地震救援活動報告会の詳細とお申し込み
みなさま、ぜひご参加ください。
NEDOの提案公募型開発支援研究協力事業」に採択決定
バイオマスのガス化技術の共同開発プロジェクトが、NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「平成18年度提案公募型開発支援研究協力事業」として採択されました。
平成18年度「提案公募型開発支援研究協力事業」に係る助成先の決定について
NEDOの提案公募型開発支援研究協力事業は、開発途上国単独では解決困難な技術課題・技術ニーズに対処するとともに、途上国における研究開発能力の向上を図ることを目的とするもので、今年度は45件の応募があった中で9件のテーマが採択されたそうです。
以下、事業の要約です。
(1)事業名:「インドネシアにおける、粘土を触媒とするバイオマスの低コスト流動接触分解ガス化技術の共同開発」
(2)研究期間:2年間(2006~2007年度)
(3)事業の内容:APEXと東京農工大では、2000年度より粘土を触媒とするバイオマスの流動接触分解アガス化の研究を開始した。2003年度からはインドネシア技術応用評価庁ならびにディアン・デサ財団も共同開発に加わり、2005年度にはインドネシアにおいて25kWのガス化パイロットプラント(バブリング流動層)が完成し、生成ガスをエンジンに投入して発電するにいたっている。パイロットプラントの知見を踏まえ、残された課題と対策を整理して、アブラヤシ廃棄物を原料とするバブリング流動層の実証テストプラント(100kW)を設計、製作、運転、解析、評価し、この技術の実用化をはかる。さらに、外部循環型流動層パイロットプラント(100kW)をも建設、運転、解析、評価し、二つの方式を比較して選択の指針を得る。
(4)事業実施体制:特定非営利活動法人APEX、東京農工大学堀尾研究室、ディアン・デサ財団、インドネシア技術応用評価庁(BPPT)の4者による共同研究
NEDOは経済産業省所管の独立行政法人で、産業技術とエネルギー・環境技術の研究開発と普及を推進する日本最大規模の中核的な機関です。日本の未来社会のため優れた研究成果を生み出すことを目的に、産学官の総力を結集させたさまざまな研究開発をトータルコーディネートしています。
平成18年度「提案公募型開発支援研究協力事業」に係る助成先の決定について
NEDOの提案公募型開発支援研究協力事業は、開発途上国単独では解決困難な技術課題・技術ニーズに対処するとともに、途上国における研究開発能力の向上を図ることを目的とするもので、今年度は45件の応募があった中で9件のテーマが採択されたそうです。
以下、事業の要約です。
(1)事業名:「インドネシアにおける、粘土を触媒とするバイオマスの低コスト流動接触分解ガス化技術の共同開発」
(2)研究期間:2年間(2006~2007年度)
(3)事業の内容:APEXと東京農工大では、2000年度より粘土を触媒とするバイオマスの流動接触分解アガス化の研究を開始した。2003年度からはインドネシア技術応用評価庁ならびにディアン・デサ財団も共同開発に加わり、2005年度にはインドネシアにおいて25kWのガス化パイロットプラント(バブリング流動層)が完成し、生成ガスをエンジンに投入して発電するにいたっている。パイロットプラントの知見を踏まえ、残された課題と対策を整理して、アブラヤシ廃棄物を原料とするバブリング流動層の実証テストプラント(100kW)を設計、製作、運転、解析、評価し、この技術の実用化をはかる。さらに、外部循環型流動層パイロットプラント(100kW)をも建設、運転、解析、評価し、二つの方式を比較して選択の指針を得る。
(4)事業実施体制:特定非営利活動法人APEX、東京農工大学堀尾研究室、ディアン・デサ財団、インドネシア技術応用評価庁(BPPT)の4者による共同研究
NEDOは経済産業省所管の独立行政法人で、産業技術とエネルギー・環境技術の研究開発と普及を推進する日本最大規模の中核的な機関です。日本の未来社会のため優れた研究成果を生み出すことを目的に、産学官の総力を結集させたさまざまな研究開発をトータルコーディネートしています。