【ボランティア活動】アフタヌーンカフェ12月の会を開催しました
今年もわずかになりました。東京事務所では毎年年末に事務所のクリーニングをするのですが、今年も気がつけば汚れが目立つようになってきていて、確かに時間が経過していることを感じます。また、これがすっかり落ちると新年も頑張ろうという気にもなるのです。大掃除って大事ですね。
さて、今年の国内最後のイベントとして、18日(日)に「アフタヌーンカフェ12月の会」を行いました。この催しは、ボランティアグループAPnetが主催しているもので、今回で5回目になります。APEXの活動を知っていただこうという趣旨で第1部は事業説明を行いますが、ボランティアグループ自身が楽しめる企画も試していきたいと、第2部にグループスタディを行っています。この日は「認定NPO法」がテーマでした。今回は、新規の3名の方がお見えになり、ボランティアスタッフ5名でお迎えしました。

(新規の方3名を交え、8名で行いました)
第1部の事業説明では、APnetのメンバーがAPEXをご紹介しました。今回は、会の方針や特長の方にややウエイトが置かれましたので、共感された方も多かったのではと思います。第2部のグループスタディでは、NPOの現状や認定NPO法改正による税制上の優遇措置などをご説明し、手軽に寄付できるサイトのご紹介もしました。アメリカの税制優遇制度などの話も飛び出し、意見交換もできて、まずまずの勉強会になったと思います。

(ちなみに今日のコーヒーは「トラジャ」です)
第3部はボランティアスタッフのミーティングになっています。これまでの回もそうですが、初対面の方もいつの間にかミーティングに巻き込まれていく雰囲気があるのか、今回もほとんどの方が最後まで参加して下さいました。
年の瀬にもかかわらず、多くの方が来年の会の活動をどう盛り上げていこうかを話し合うというのは、事務所のクリーニングではないですが、気持ちがリフレッシュするというか、活力をいただいている気がします。ご参加いただいたみなさま、どうもありがとうございます。
次回のアフタヌーンカフェは来年2月(中~下旬)に行う予定です。みなさまのお越しをお待ちしています。
それでは、良いお年をお迎え下さい。
(APEX三木)
さて、今年の国内最後のイベントとして、18日(日)に「アフタヌーンカフェ12月の会」を行いました。この催しは、ボランティアグループAPnetが主催しているもので、今回で5回目になります。APEXの活動を知っていただこうという趣旨で第1部は事業説明を行いますが、ボランティアグループ自身が楽しめる企画も試していきたいと、第2部にグループスタディを行っています。この日は「認定NPO法」がテーマでした。今回は、新規の3名の方がお見えになり、ボランティアスタッフ5名でお迎えしました。

(新規の方3名を交え、8名で行いました)
第1部の事業説明では、APnetのメンバーがAPEXをご紹介しました。今回は、会の方針や特長の方にややウエイトが置かれましたので、共感された方も多かったのではと思います。第2部のグループスタディでは、NPOの現状や認定NPO法改正による税制上の優遇措置などをご説明し、手軽に寄付できるサイトのご紹介もしました。アメリカの税制優遇制度などの話も飛び出し、意見交換もできて、まずまずの勉強会になったと思います。

(ちなみに今日のコーヒーは「トラジャ」です)
第3部はボランティアスタッフのミーティングになっています。これまでの回もそうですが、初対面の方もいつの間にかミーティングに巻き込まれていく雰囲気があるのか、今回もほとんどの方が最後まで参加して下さいました。
年の瀬にもかかわらず、多くの方が来年の会の活動をどう盛り上げていこうかを話し合うというのは、事務所のクリーニングではないですが、気持ちがリフレッシュするというか、活力をいただいている気がします。ご参加いただいたみなさま、どうもありがとうございます。
次回のアフタヌーンカフェは来年2月(中~下旬)に行う予定です。みなさまのお越しをお待ちしています。
それでは、良いお年をお迎え下さい。
(APEX三木)
【MARIの突撃レポート】第三弾 「11月の目玉イベント!!コミュニティ排水処理トレーニング」
こんにちは。APEXの北田です。
みなさん、前回のレポートはご覧いただけましたでしょうか。第三弾は、前回のインタビューで話題にあがったジョクジャカルタで開催したコミュニティ排水処理のトレーニングついて、田中代表に詳しくうかがいました。他にも最新のトピックをお聞きしています。どうぞご覧ください!!
Q1.先月(11月)行われた、住民参加型コミュニティ排水処理に関するトレーニングについて聞かせてください。
A1.今回のトレーニングは、プロジェクトのモデルシステム設置対象地域である中部ジャワ州テガール市、プカロンガン市、スラカルタ市とバリ州タバナン県の各都市/県の政府関係者と3つの協力先NGOのメンバーに集まってもらい、プロジェクトの意義と、お互いの経験を共有するものです。11月15日から17日まで、ジョクジャカルタで開催し、PUSTEKLIM以外の参加者は14名の予定でしたが、実際は20名余り集まりました。初日はPUSTEKLIMから、これまでのプロジェクトの経験と、今回のプロジェクトの目的や活動について説明しました。2日目は、まず中央政府からBAPPENAS(国家開発企画庁)の居住住宅部門のディレクターであるヌグロホ氏の、インドネシアの衛生問題と国家レベルの政策に関する講演がありました。その後、それぞれの地方政府と協力先NGOに衛生問題の現況やこれまでの活動の経験について発表してもらいました。そして最終日は、先行プロジェクトでコミュニティ排水処理のモデルシステムを設置した、ジョクジャカルタのクリチャック地区とスクナン地区を訪問して、実際に動いているシステムを見てもらいました。そして、それらをふまえて、まとめのディスカッションをしました。関係者が一堂に会して、プロジェクトの意義や活動内容について共通認識をもてたこと、お互いに知り合えたことがよかったです。中央政府とのつながりをつくれたことと、ジョクジャカルタ州やスマラン県の政府とも再び関係がもてたことも収穫でした。

講演のようす モデルシステムの見学(クリチャック地区)
Q2.現地で新しいスタッフを募集していたそうですが、審査は終わりましたか。
A2.今回の事業では、ディアン・デサ財団からリクルートしたスタッフ以外に、新たにスタッフを募集することになっています。それで、新聞に求人情報を掲載して、募集してみました。すると46名もの方からの応募があって、書類審査を通過した12名の方と面接を行う予定でしたが、ドタキャンする人や当日キャンセルする人がいて、最終的に9名の方と会いました。いろいろな人がいましたが、もっと多くを学びたい、経験を積んで力を伸ばしていきたいという意思がはっきりとしている人、自分の培ってきた知識や技術を発揮する場を探している人という、2つのパターンが目立ちました。最終的に2名を採用することになりましたが、いずれも前者のパターンの人です。
Q3.今年も残すところわずかとなりましたが、今月(12月)はどんな活動をされますか。
A3.モデルシステム設置対象都市/県を訪ねて、引き続きシステム設置対象コミュニティの選抜や、合意書の締結についての打ち合わせを行います。その他、先月のトレーニングに参加してくれたジョクジャカルタ市政府、ならびに中部ジャワ州政府へのプロジェクトの紹介も行う予定です。
以上、田中さんの11月の活動インタビューでした。田中さんのお話にもありましたように、PUSTEKLIMに新しいスタッフが加わりました!!2名のうち1名はさっそく今月から活動を始めているそうです。スタッフ紹介のページにプロフィールをアップしましたので、是非ご覧ください。アジェン・タンティ・プラティウィさんです★どうぞよろしくお願いします。
(APEX北田万理)
みなさん、前回のレポートはご覧いただけましたでしょうか。第三弾は、前回のインタビューで話題にあがったジョクジャカルタで開催したコミュニティ排水処理のトレーニングついて、田中代表に詳しくうかがいました。他にも最新のトピックをお聞きしています。どうぞご覧ください!!
Q1.先月(11月)行われた、住民参加型コミュニティ排水処理に関するトレーニングについて聞かせてください。
A1.今回のトレーニングは、プロジェクトのモデルシステム設置対象地域である中部ジャワ州テガール市、プカロンガン市、スラカルタ市とバリ州タバナン県の各都市/県の政府関係者と3つの協力先NGOのメンバーに集まってもらい、プロジェクトの意義と、お互いの経験を共有するものです。11月15日から17日まで、ジョクジャカルタで開催し、PUSTEKLIM以外の参加者は14名の予定でしたが、実際は20名余り集まりました。初日はPUSTEKLIMから、これまでのプロジェクトの経験と、今回のプロジェクトの目的や活動について説明しました。2日目は、まず中央政府からBAPPENAS(国家開発企画庁)の居住住宅部門のディレクターであるヌグロホ氏の、インドネシアの衛生問題と国家レベルの政策に関する講演がありました。その後、それぞれの地方政府と協力先NGOに衛生問題の現況やこれまでの活動の経験について発表してもらいました。そして最終日は、先行プロジェクトでコミュニティ排水処理のモデルシステムを設置した、ジョクジャカルタのクリチャック地区とスクナン地区を訪問して、実際に動いているシステムを見てもらいました。そして、それらをふまえて、まとめのディスカッションをしました。関係者が一堂に会して、プロジェクトの意義や活動内容について共通認識をもてたこと、お互いに知り合えたことがよかったです。中央政府とのつながりをつくれたことと、ジョクジャカルタ州やスマラン県の政府とも再び関係がもてたことも収穫でした。


講演のようす モデルシステムの見学(クリチャック地区)
Q2.現地で新しいスタッフを募集していたそうですが、審査は終わりましたか。
A2.今回の事業では、ディアン・デサ財団からリクルートしたスタッフ以外に、新たにスタッフを募集することになっています。それで、新聞に求人情報を掲載して、募集してみました。すると46名もの方からの応募があって、書類審査を通過した12名の方と面接を行う予定でしたが、ドタキャンする人や当日キャンセルする人がいて、最終的に9名の方と会いました。いろいろな人がいましたが、もっと多くを学びたい、経験を積んで力を伸ばしていきたいという意思がはっきりとしている人、自分の培ってきた知識や技術を発揮する場を探している人という、2つのパターンが目立ちました。最終的に2名を採用することになりましたが、いずれも前者のパターンの人です。
Q3.今年も残すところわずかとなりましたが、今月(12月)はどんな活動をされますか。
A3.モデルシステム設置対象都市/県を訪ねて、引き続きシステム設置対象コミュニティの選抜や、合意書の締結についての打ち合わせを行います。その他、先月のトレーニングに参加してくれたジョクジャカルタ市政府、ならびに中部ジャワ州政府へのプロジェクトの紹介も行う予定です。
以上、田中さんの11月の活動インタビューでした。田中さんのお話にもありましたように、PUSTEKLIMに新しいスタッフが加わりました!!2名のうち1名はさっそく今月から活動を始めているそうです。スタッフ紹介のページにプロフィールをアップしましたので、是非ご覧ください。アジェン・タンティ・プラティウィさんです★どうぞよろしくお願いします。
(APEX北田万理)
冬季休暇のお知らせ
日頃より当会の活動にご理解・ご協力をいただきまして、誠にありがとうございます。
さて、誠に勝手ではございますが、APEXは以下の期間を冬季休暇とさせていただきます。ご迷惑をおかけしますが、ご了承のほどよろしくお願いいたします。なお、お急ぎのご用件はメールでお寄せ下さい。
2011年12月26日(金) ~ 2012年 1月6日(月)
以上
さて、誠に勝手ではございますが、APEXは以下の期間を冬季休暇とさせていただきます。ご迷惑をおかけしますが、ご了承のほどよろしくお願いいたします。なお、お急ぎのご用件はメールでお寄せ下さい。
2011年12月26日(金) ~ 2012年 1月6日(月)
以上
【現地レポート】各都市の概要と候補地の選定について

ここではまず、4都市のそれぞれの特徴や衛生設備に関する状況を述べたいと思います。テガール市およびプカロンガン市はともに中部ジャワ州北部の海沿いに位置し、人口25万~30万人の中堅都市です。ソロは中部ジャワ州の東端内陸部に位置する人口56万人の大都市で、ジョクジャカルタと同様に王宮があり、観光産業も盛んです。バリ州のタバナン県タバナン郡は人口6万3千人の小規模都市で、市の周辺を流れる川の下流域にはタナ・ロット寺院やプラック・サンドビーチなどの観光スポットがあります。各都市の主な特徴を以下にまとめました。
テガール市 | プカロンガン市 | |
---|---|---|
面積(km2) | 39.48 | 46.25 |
人口 | 249,000(2008年) | 274,000(2008年) |
産業 | 商業、サービス業、製造業(食品加工、金属加工、繊維、バティック、造船等) | 商業と製造業(バティック、水産加工等) |
セプティック・タンク普及率 | 85% | 60% |
セプティック・タンク管理状態 | 管理状態が悪く、汚泥の抜き出しが適正に行われていない。 | 管理状態は悪く、また市の汚泥処理能力も不足している。 |
その他の衛生設備の設置状況 | 40%の家庭にはトイレがなく、川などを利用している。 | |
市内の井戸の汚染状況 | 市内27地区のすべてでセプティック・タンクと井戸の平均距離が10m以下。そのうち、12地区では5m以下に近接し、多くの井戸の汚染をもたらしている。 | 2007年の調査では、市内の井戸水22サンプルのうち、14サンプルが汚染されていた。 |
その他 | 標高が低く、地域によっては海水が頻繁に浸水する。 | 中小のバティック産業が多く、その排水による問題も大きい。標高が低く、地域によっては海水が頻繁に浸水する。 |
排水処理施設の設置状況 | コミュニティ排水処理施設5ユニットが設置済み | コミュニティ衛生施設として、MCKが4ユニット(計76家族分)設置済み |
今後の衛生設備設置計画 | 2014年までに、セプティック・タンクの普及率を90%に、コミュニティ排水処理設備を10ユニットに増やす予定 | 2014年までに、セプティックタンク付きのトイレ普及率を90%に増やす予定 |
ソロ(スラカルタ)市 | タバナン県タバナン郡 | |
---|---|---|
面積(km2) | 40.04 | 51.4 |
人口 | 562,000(2006年) | 63,172(2009年) |
産業 | サービス、商業・ホテル・レストラン、製造業(バティック、印刷、食品加工、機械等) | 商業、サービス業 |
セプティック・タンク普及率 | 83% | |
その他の排水処理設備の設置状況 | 2系列の下水道が設置されているが、普及率は市の人口の8.38%(2007年)にとどまる。 | トイレ排水はセプティックタンクで処理し、生活雑排水は、未処理で川か排水溝に放出している |
市内の井戸の汚染状況 | 市内の井戸水のほとんどが汚染されているが、これはセプティックタンクの浸出水に起因すると考えられる。 | |
排水処理施設の設置状況 | コミュニティ排水処理施設3ユニット(計265軒分、うちMCK2ユニット)があり、他に2ユニット設置中。 | 3ユニットのコミュニティ排水処理設備が稼働し、1ユニット建設中。しかし、合計処理能力は270軒分にとどまる。 |
今後の衛生設備設置計画 | 既存下水道の普及率を20%とすること、毎年2-3ユニットのコミュニティ排水処理設備の追加を計画している。 |
以上の4都市は、2009年12月からインドネシアで開始された、PPSP(住民居住地域における衛生改善促進プログラム)にも参加しています。このPPSPというプログラムは、参加する都市がワーキンググループを組織して、都市衛生改善戦略(SSK)を策定し、それにもとづく実行計画にしたがって、衛生改善をすすめるものです。
現在は各都市のPPSPのワーキンググループや協力先のローカルNGOとともに、複数ある排水処理設備設置の候補地をまわり、設置場所を絞り込んでいる状況です。
各政府機関との会合や、実地検証、住民への聞き取り調査などを行い、①必要性(住民の要望があるか)、②実現可能性(実現にあたって技術的な障害などがないか)、③有効性(設置することで良い影響を与えうるか)、④継続性(住民による継続運営が可能か)、⑤モデル性(他の地域のモデルとなりうるか)の5つの観点から選定していきます。この候補地の選定が終わると、住民向けの学習会や住民との会合を行い、住民の合意を形成する段階に入ります。


(左:プカロンガン市政府機関との打ち合わせ、右:タバナン郡での聞き取り調査)


(左:プカロンガン市内の住宅のそばに作られた排水溝と住民、右:テガール市内の排水溝)
(APEX彦坂)
【報告】東北大学・APEX合同ワークショップ「アジア地域に適合的な生活排水処理技術の新しい展開」
先月、ジョクジャカルタでは排水処理事業トレーニングセミナーが行われましたが、それに引き続き国内では、12月3日(日)に東北大学・APEX合同ワークショップ「アジア地域に適合的な生活排水処理技術の新しい展開」が開催されました。
これまで東北大学とAPEXは、長年にわたり、アジア地域に合った排水処理技術の開発に取り組んできました。このワークショップは、それぞれに開発した技術とこれまでの活動をご説明しながら、アジア地域に合った排水処理技術について考えていただこうというものでした。
会は、APEX・JST(独立行政法人科学技術振興機構)・東北大学各代表者の方のご挨拶から始まりました。

JST高橋昭男氏 APEX代表田中直
はじめに、APEX代表田中より今回のワークショップの趣旨・経緯についてお話をさせていただきました。続いてJST高橋昭男氏よりJST-JICAの“地球規模課題対応国際科学技術協力事業(SATREPS)プログラム”のご説明をしていただきました。最後に、東北大学大学院工学研究科教授の原田秀樹先生よりご挨拶をいただき、さっそく講演へと移りました。

東北大学 原田秀樹先生 講演1
講演1では、原田先生より「エネルギー最小消費型の下水処理技術の実用化と普及」と題して、先生が開発された技術と、東北大学がインドで実施したカルナールプロジェクトについてご紹介いただきました。
一般的に先進国ではコスト・エネルギー消費量が高く、処理効果も高い好気性排水処理技術が使われ、一方、途上国ではコスト・エネルギー消費量が低いものの、処理効果が十分ではない嫌気性排水処理技術が使われています。東北大学、APEXでは、嫌気性と好気性技術を組み合わせて低コスト化・高効率のこの排水処理システムを開発していますが、東北大学では、好気性部分にDHS技術(下向流スポンジ型リアクター)という独自の技術を開発しています。
東北大学では5年という長い年月をかけてノンストップで実験を続けてきたことが印象的でした。そしてこの技術を積極的に国際ジャーナルにアピールした結果、現地で大きなインパクトを与え、インド政府もこの技術を取り入れるために日本に調査団を派遣するほど導入にも積極的だったということです。インドにおける需要の高さがうかがえました。

講演2「アジア地域に適合的なコミュニティ排水処理システムの開発と普及」 受付はAPEXのボランティアのみなさんです
続く講演2では、APEXの田中より「アジア地域に適合的なコミュニティ排水処理システムの開発と普及」についてお話をさせていただきました。APEXでは好気性部分に立体格子状回転円板という技術を取り入れています。APEXのプロジェクトはインドネシアを拠点とし、東北大学よりも小規模なコミュニティレベルの生活排水処理を行っているところに特徴があります。排水処理システムの設置から住民の自立的な運営にいたるまでの流れをご紹介するなかで、APEXがどのような活動を行ってきたのかについて、より詳しくおわかりいただけたのではいでしょうか。
現在東北大学とAPEXは、両者ともに新規プロジェクトを開始し、独自に開発した技術の実機化と普及の段階に入っています。今回のワークショップでは、技術的な内容だけでなく、インドやインドネシアの環境状況にも触れました。日本では、今でこそ原発問題に起因する「水」にまつわる問題をしばしば耳にしますが、途上国ほど「排水」の不便さを感じることなく生活を送ることが出来ます。今回の講演を聴き、東北大学とAPEXの技術を普及させていくことも重要ですが、それに伴い、研究者や技術者の方だけでなく、一般の方にもアジアが抱えている問題や現状について考えていただけるようなる機会を提供することも私たちの役目なんだと、改めて認識しました。
今回のワークショップでは、日頃よりAPEXの活動をご支援してくださっている方や、研究者、学生の方など、たくさんの方とお会いすることができました。また当日は、2011年APEXスタディーツアーに参加した学生さんが会場運営のお手伝いをしてくれました。ご来場していただいたみなさま、お足元が悪いなか当ワークショップにご参加いただき、本当にありがとうございました。
(APEX 北田万理)
これまで東北大学とAPEXは、長年にわたり、アジア地域に合った排水処理技術の開発に取り組んできました。このワークショップは、それぞれに開発した技術とこれまでの活動をご説明しながら、アジア地域に合った排水処理技術について考えていただこうというものでした。
会は、APEX・JST(独立行政法人科学技術振興機構)・東北大学各代表者の方のご挨拶から始まりました。


JST高橋昭男氏 APEX代表田中直
はじめに、APEX代表田中より今回のワークショップの趣旨・経緯についてお話をさせていただきました。続いてJST高橋昭男氏よりJST-JICAの“地球規模課題対応国際科学技術協力事業(SATREPS)プログラム”のご説明をしていただきました。最後に、東北大学大学院工学研究科教授の原田秀樹先生よりご挨拶をいただき、さっそく講演へと移りました。


東北大学 原田秀樹先生 講演1
講演1では、原田先生より「エネルギー最小消費型の下水処理技術の実用化と普及」と題して、先生が開発された技術と、東北大学がインドで実施したカルナールプロジェクトについてご紹介いただきました。
一般的に先進国ではコスト・エネルギー消費量が高く、処理効果も高い好気性排水処理技術が使われ、一方、途上国ではコスト・エネルギー消費量が低いものの、処理効果が十分ではない嫌気性排水処理技術が使われています。東北大学、APEXでは、嫌気性と好気性技術を組み合わせて低コスト化・高効率のこの排水処理システムを開発していますが、東北大学では、好気性部分にDHS技術(下向流スポンジ型リアクター)という独自の技術を開発しています。
東北大学では5年という長い年月をかけてノンストップで実験を続けてきたことが印象的でした。そしてこの技術を積極的に国際ジャーナルにアピールした結果、現地で大きなインパクトを与え、インド政府もこの技術を取り入れるために日本に調査団を派遣するほど導入にも積極的だったということです。インドにおける需要の高さがうかがえました。



講演2「アジア地域に適合的なコミュニティ排水処理システムの開発と普及」 受付はAPEXのボランティアのみなさんです
続く講演2では、APEXの田中より「アジア地域に適合的なコミュニティ排水処理システムの開発と普及」についてお話をさせていただきました。APEXでは好気性部分に立体格子状回転円板という技術を取り入れています。APEXのプロジェクトはインドネシアを拠点とし、東北大学よりも小規模なコミュニティレベルの生活排水処理を行っているところに特徴があります。排水処理システムの設置から住民の自立的な運営にいたるまでの流れをご紹介するなかで、APEXがどのような活動を行ってきたのかについて、より詳しくおわかりいただけたのではいでしょうか。
現在東北大学とAPEXは、両者ともに新規プロジェクトを開始し、独自に開発した技術の実機化と普及の段階に入っています。今回のワークショップでは、技術的な内容だけでなく、インドやインドネシアの環境状況にも触れました。日本では、今でこそ原発問題に起因する「水」にまつわる問題をしばしば耳にしますが、途上国ほど「排水」の不便さを感じることなく生活を送ることが出来ます。今回の講演を聴き、東北大学とAPEXの技術を普及させていくことも重要ですが、それに伴い、研究者や技術者の方だけでなく、一般の方にもアジアが抱えている問題や現状について考えていただけるようなる機会を提供することも私たちの役目なんだと、改めて認識しました。
今回のワークショップでは、日頃よりAPEXの活動をご支援してくださっている方や、研究者、学生の方など、たくさんの方とお会いすることができました。また当日は、2011年APEXスタディーツアーに参加した学生さんが会場運営のお手伝いをしてくれました。ご来場していただいたみなさま、お足元が悪いなか当ワークショップにご参加いただき、本当にありがとうございました。
(APEX 北田万理)
ローカルNGO・政策担当者向けのトレーニング
こちらで既に報告しました通り、10月1日からJICA草の根技術協力事業(パートナー型)「インドネシアの都市部住宅密集地域における住民参加型コミュニティ排水処理システム普及促進事業」が始まっています。
今回の事業では、中部ジャワ州のテガール市、プカロンガン市、スラカルタ(ソロ)市、バリ州のタバナン県の4地区にコミュニティ排水処理モデルシステムを設置する予定です。どの地域もPUSTEKLIM(排水処理適正技術センター)のあるジョクジャカルタからは離れているため、3つのローカルNGOが、コミュニティの住民やローカル政府機関との調整役などを務めます。プカロンガン、テガールは近郊のスマラン市のNGO、スラカルタは同じスラカルタ市内のNGO、タバナン県は近郊のデンパサール市のNGOがそれぞれ担当します。
11月15日~17日には、ジョクジャカルタに以上の4つの都市などの各省庁担当者、3つのローカルNGOの担当者を招いて、トレーニングを行いました。このトレーニングは、それらの事業に参加する方々とPUSTEKLIMのメンバーが一堂に介して、今回の事業の意義や計画、それぞれの地域の状況や各NGOの経験を共有する、キックオフミーティング的な性格を持つものです。

トレーニング会場の様子(各ローカルNGO、各都市の担当者ら22名の他、PUSTEKLIMのメンバー6名が参加)
また、このトレーニングでは、中央政府から国家開発企画庁の住宅・居住総局ディレクターであり、水供給と衛生改善にかかわる国家レベルのワーキンググループ議長でもあるヌグロホ氏をお招きし、インドネシアの衛生問題にかかわる現況とその改善計画などに関してもご講演いただきました。

国家開発企画庁のヌグロホ氏による講演
1日目と2日目は主に会議室での講演が中心でした。その中でPUSTEKLIM側からは、今回の事業の概要やPUSTEKLIMがこれまでの事業で開発してきたコミュニティ排水処理システムについて、さらに同システムの技術面でのポイントや、住民参加型排水処理システムの形成にあたって発生した問題や取られた対応策などに関して、報告を行いました。各ローカルNGOからは、各団体の概要やこれまでの活動内容やそれらの活動から学んだことなどの報告があり、各都市の政策担当者からは各都市の概要及び衛生設備などの状況、今後の改善計画などについての報告がありました。3日目の午前中は先の事業で設置されたクリチャック地区とスクナン地区の排水処理システムの視察、午後には今後事業をどのように進めていくか、資金負担に関してなどを話しあう議論が行われました。

コミュニティ排水処理設備視察の様子(左:クリチャック地区、右:スクナン地区)
各都市の担当者は、嫌気性処理しか選択肢がないが、嫌気性処理でおよそ100世帯の生活排水を処理するのに必要な土地(約100~200平方メートル)がなかなか見つからないと発表していました。さらに、排水処理システムのための土地が見つからなくて、計画が挫折する場合もあるそうです。PUSTEKLIMの技術であれば、嫌気性処理のみの排水処理システムと比べておよそ5分の1以下の面積で排水処理システムを構築することが出来るので、PUSTEKLIMの技術は、特に都市部の住宅密集地域には適したものではないかと思われました。
さらに、PUSTEKLIMの技術担当者ヘルマン氏の発表によれば、嫌気性処理のみではBOD(水質汚濁の状況を示す一つの指標、値が低いほうがよりきれいな水質)を100ppm程度までしか下げられないが、PUSTEKLIMの技術では20~50ppm程度まで下げられるとのこと。今の国全体の排水基準では、BODに関しては100ppmであり、多くの地域も100ppmとしているが、幾つかの地域では基準を80ppmに下げている所もあるそうです。このような地域は今後増えると予想され、また排水基準もさらに下げられる可能性があり、そうすると嫌気性処理だけでは基準を満たさなくなる可能性もあるとのことです。
先の事業で開発された嫌気性処理と好気性処理の組み合わせによる住民参加型排水処理システムの有効性を実証し、もう一つの選択肢を提唱する価値は十分にあるようです。
その他、個人的にはローカルNGOの方が「1軒の家に1つトイレがあっても、1軒に2~3世帯住んでいて朝などはトイレが混むため、結局、川で用を足す人がいる」とおっしゃっていたのが、印象に残りました。
なお、APEXでは今週末の12月3日(土)に、東北大学の原田秀樹研究室との共催で「アジア地域に適合的な生活排水処理技術の新しい展開」というワークショップを開催しますので、ご関心のある方は是非ご参加ください。
(APEX彦坂)
今回の事業では、中部ジャワ州のテガール市、プカロンガン市、スラカルタ(ソロ)市、バリ州のタバナン県の4地区にコミュニティ排水処理モデルシステムを設置する予定です。どの地域もPUSTEKLIM(排水処理適正技術センター)のあるジョクジャカルタからは離れているため、3つのローカルNGOが、コミュニティの住民やローカル政府機関との調整役などを務めます。プカロンガン、テガールは近郊のスマラン市のNGO、スラカルタは同じスラカルタ市内のNGO、タバナン県は近郊のデンパサール市のNGOがそれぞれ担当します。
11月15日~17日には、ジョクジャカルタに以上の4つの都市などの各省庁担当者、3つのローカルNGOの担当者を招いて、トレーニングを行いました。このトレーニングは、それらの事業に参加する方々とPUSTEKLIMのメンバーが一堂に介して、今回の事業の意義や計画、それぞれの地域の状況や各NGOの経験を共有する、キックオフミーティング的な性格を持つものです。

トレーニング会場の様子(各ローカルNGO、各都市の担当者ら22名の他、PUSTEKLIMのメンバー6名が参加)
また、このトレーニングでは、中央政府から国家開発企画庁の住宅・居住総局ディレクターであり、水供給と衛生改善にかかわる国家レベルのワーキンググループ議長でもあるヌグロホ氏をお招きし、インドネシアの衛生問題にかかわる現況とその改善計画などに関してもご講演いただきました。

国家開発企画庁のヌグロホ氏による講演
1日目と2日目は主に会議室での講演が中心でした。その中でPUSTEKLIM側からは、今回の事業の概要やPUSTEKLIMがこれまでの事業で開発してきたコミュニティ排水処理システムについて、さらに同システムの技術面でのポイントや、住民参加型排水処理システムの形成にあたって発生した問題や取られた対応策などに関して、報告を行いました。各ローカルNGOからは、各団体の概要やこれまでの活動内容やそれらの活動から学んだことなどの報告があり、各都市の政策担当者からは各都市の概要及び衛生設備などの状況、今後の改善計画などについての報告がありました。3日目の午前中は先の事業で設置されたクリチャック地区とスクナン地区の排水処理システムの視察、午後には今後事業をどのように進めていくか、資金負担に関してなどを話しあう議論が行われました。


コミュニティ排水処理設備視察の様子(左:クリチャック地区、右:スクナン地区)
各都市の担当者は、嫌気性処理しか選択肢がないが、嫌気性処理でおよそ100世帯の生活排水を処理するのに必要な土地(約100~200平方メートル)がなかなか見つからないと発表していました。さらに、排水処理システムのための土地が見つからなくて、計画が挫折する場合もあるそうです。PUSTEKLIMの技術であれば、嫌気性処理のみの排水処理システムと比べておよそ5分の1以下の面積で排水処理システムを構築することが出来るので、PUSTEKLIMの技術は、特に都市部の住宅密集地域には適したものではないかと思われました。
さらに、PUSTEKLIMの技術担当者ヘルマン氏の発表によれば、嫌気性処理のみではBOD(水質汚濁の状況を示す一つの指標、値が低いほうがよりきれいな水質)を100ppm程度までしか下げられないが、PUSTEKLIMの技術では20~50ppm程度まで下げられるとのこと。今の国全体の排水基準では、BODに関しては100ppmであり、多くの地域も100ppmとしているが、幾つかの地域では基準を80ppmに下げている所もあるそうです。このような地域は今後増えると予想され、また排水基準もさらに下げられる可能性があり、そうすると嫌気性処理だけでは基準を満たさなくなる可能性もあるとのことです。
先の事業で開発された嫌気性処理と好気性処理の組み合わせによる住民参加型排水処理システムの有効性を実証し、もう一つの選択肢を提唱する価値は十分にあるようです。
その他、個人的にはローカルNGOの方が「1軒の家に1つトイレがあっても、1軒に2~3世帯住んでいて朝などはトイレが混むため、結局、川で用を足す人がいる」とおっしゃっていたのが、印象に残りました。
なお、APEXでは今週末の12月3日(土)に、東北大学の原田秀樹研究室との共催で「アジア地域に適合的な生活排水処理技術の新しい展開」というワークショップを開催しますので、ご関心のある方は是非ご参加ください。
(APEX彦坂)