【報告】インドネシア国際フォーラム2022

2022年1月26日(水)の日本時間15:00-18:00に、国際フォーラム「インドネシアにおける、適正な技術選択による持続可能な低炭素社会の構築」が開催されました (共催:インドネシア大学大学院環境学研究科、特定非営利活動法人APEX、適正技術フォーラム)。フォーラムは、オンライン(Zoom)で行われ、計273名(127名Zoom参加、146名Youtube配信ライブ同時視聴)が参加されました。このフォーラムは英語で行われました。

はじめに、特定非営利活動法人APEX/適正技術フォーラム代表理事の田中直から、「アジアでの脱炭素社会構築のための適正な技術選択に関する包括的ガイドラインの提案と、インドネシアに適合的なバイオマスエネルギー利用技術の開発」というタイトルで発表がありました。かねてより発信をしております〈持続可能な開発のための適正な技術選択に関する包括的フレームワーク〉の概要の説明後、日本とインドネシアの脱炭素化の現状と〈脱炭素社会構築のための適正な技術選択に関する提言〉の発表があり、最後に、APEXが開発を進めている、粘土を触媒とする流動接触分解ガス化の技術について紹介がありました。

次に、インドネシア大学大学院環境学研究科のマハワン・カルニアサ氏より、「インドネシア・ビジョン2045に向けた、グリーンで低炭素な開発」というテーマで講演をいただきました。インドネシアの全体的な脱炭素政策・目標についてご紹介いただきましたが、その中でも特に、脱炭素化政策の第2フェーズの現状と計画について詳しくお話をいただきました。



三番目の講演として、公益財団法人地球環境戦略研究機関の森秀行氏、市原純氏、サダルマント・ブディ・ヌグロホ氏による合同発表がありました。「インドネシアのエネルギーその他の分野における気候変動緩和努力に関する地域および国家レベルからの展望、並びに地方レベルでの廃棄物関連のイニシアティブ」という演題で、インドネシアの脱炭素計画および現状、関連する政策などをお話いただきました。インドネシアは石炭生産国であり、一番野心的な脱炭素シナリオでも、石炭は使うことになっていること等問題点の指摘や、これまでのCO2の排出量から見ると、脱炭素化で重要となるのはエネルギーと林業の分野であること、また、輸入国側の脱炭素への意識や規制の高まりから、インドネシア企業は脱炭素に積極的なことなどをお教えいただきました。

最後の講演として、インドネシア大学教授・京都大学名誉教授の水野広祐氏より、「低炭素社会に向けて:インドネシアにおける、再生可能エネルギー、泥炭地ならびにバイオマス」というタイトルでご発表をいただきました。インドネシアでは、バイオディーゼル燃料の生産が増えており、それらは主にパーム油から作られているそうです。パーム油は、森林破壊などの問題も挙げられていますが、もともと森林がない泥炭地を活用すればその問題はなくなり、さらに泥炭地を再生しながらバイオディーゼル燃料をつくることができる、という構想をご提案いただきました。

続く質疑では、APEXのバイオマスガス化技術が低価な理由や、炭素税はCO2排出削減に効果があるのか等の質問がありました。
今回のフォーラムでは、昨年のインドネシア国際フォーラムからさらに一歩踏み込んで、インドネシアの脱炭素化に焦点を当てたフォーラムになったかと思います。
ご協力そしてご参加いただいたみなさま、誠にありがとうございました。
(ジェンキンソン 陽(みなみ))