【報告】東北大学・APEX合同ワークショップ「アジア地域に適合的な生活排水処理技術の新しい展開」
先月、ジョクジャカルタでは排水処理事業トレーニングセミナーが行われましたが、それに引き続き国内では、12月3日(日)に東北大学・APEX合同ワークショップ「アジア地域に適合的な生活排水処理技術の新しい展開」が開催されました。
これまで東北大学とAPEXは、長年にわたり、アジア地域に合った排水処理技術の開発に取り組んできました。このワークショップは、それぞれに開発した技術とこれまでの活動をご説明しながら、アジア地域に合った排水処理技術について考えていただこうというものでした。
会は、APEX・JST(独立行政法人科学技術振興機構)・東北大学各代表者の方のご挨拶から始まりました。

JST高橋昭男氏 APEX代表田中直
はじめに、APEX代表田中より今回のワークショップの趣旨・経緯についてお話をさせていただきました。続いてJST高橋昭男氏よりJST-JICAの“地球規模課題対応国際科学技術協力事業(SATREPS)プログラム”のご説明をしていただきました。最後に、東北大学大学院工学研究科教授の原田秀樹先生よりご挨拶をいただき、さっそく講演へと移りました。

東北大学 原田秀樹先生 講演1
講演1では、原田先生より「エネルギー最小消費型の下水処理技術の実用化と普及」と題して、先生が開発された技術と、東北大学がインドで実施したカルナールプロジェクトについてご紹介いただきました。
一般的に先進国ではコスト・エネルギー消費量が高く、処理効果も高い好気性排水処理技術が使われ、一方、途上国ではコスト・エネルギー消費量が低いものの、処理効果が十分ではない嫌気性排水処理技術が使われています。東北大学、APEXでは、嫌気性と好気性技術を組み合わせて低コスト化・高効率のこの排水処理システムを開発していますが、東北大学では、好気性部分にDHS技術(下向流スポンジ型リアクター)という独自の技術を開発しています。
東北大学では5年という長い年月をかけてノンストップで実験を続けてきたことが印象的でした。そしてこの技術を積極的に国際ジャーナルにアピールした結果、現地で大きなインパクトを与え、インド政府もこの技術を取り入れるために日本に調査団を派遣するほど導入にも積極的だったということです。インドにおける需要の高さがうかがえました。

講演2「アジア地域に適合的なコミュニティ排水処理システムの開発と普及」 受付はAPEXのボランティアのみなさんです
続く講演2では、APEXの田中より「アジア地域に適合的なコミュニティ排水処理システムの開発と普及」についてお話をさせていただきました。APEXでは好気性部分に立体格子状回転円板という技術を取り入れています。APEXのプロジェクトはインドネシアを拠点とし、東北大学よりも小規模なコミュニティレベルの生活排水処理を行っているところに特徴があります。排水処理システムの設置から住民の自立的な運営にいたるまでの流れをご紹介するなかで、APEXがどのような活動を行ってきたのかについて、より詳しくおわかりいただけたのではいでしょうか。
現在東北大学とAPEXは、両者ともに新規プロジェクトを開始し、独自に開発した技術の実機化と普及の段階に入っています。今回のワークショップでは、技術的な内容だけでなく、インドやインドネシアの環境状況にも触れました。日本では、今でこそ原発問題に起因する「水」にまつわる問題をしばしば耳にしますが、途上国ほど「排水」の不便さを感じることなく生活を送ることが出来ます。今回の講演を聴き、東北大学とAPEXの技術を普及させていくことも重要ですが、それに伴い、研究者や技術者の方だけでなく、一般の方にもアジアが抱えている問題や現状について考えていただけるようなる機会を提供することも私たちの役目なんだと、改めて認識しました。
今回のワークショップでは、日頃よりAPEXの活動をご支援してくださっている方や、研究者、学生の方など、たくさんの方とお会いすることができました。また当日は、2011年APEXスタディーツアーに参加した学生さんが会場運営のお手伝いをしてくれました。ご来場していただいたみなさま、お足元が悪いなか当ワークショップにご参加いただき、本当にありがとうございました。
(APEX 北田万理)
これまで東北大学とAPEXは、長年にわたり、アジア地域に合った排水処理技術の開発に取り組んできました。このワークショップは、それぞれに開発した技術とこれまでの活動をご説明しながら、アジア地域に合った排水処理技術について考えていただこうというものでした。
会は、APEX・JST(独立行政法人科学技術振興機構)・東北大学各代表者の方のご挨拶から始まりました。


JST高橋昭男氏 APEX代表田中直
はじめに、APEX代表田中より今回のワークショップの趣旨・経緯についてお話をさせていただきました。続いてJST高橋昭男氏よりJST-JICAの“地球規模課題対応国際科学技術協力事業(SATREPS)プログラム”のご説明をしていただきました。最後に、東北大学大学院工学研究科教授の原田秀樹先生よりご挨拶をいただき、さっそく講演へと移りました。


東北大学 原田秀樹先生 講演1
講演1では、原田先生より「エネルギー最小消費型の下水処理技術の実用化と普及」と題して、先生が開発された技術と、東北大学がインドで実施したカルナールプロジェクトについてご紹介いただきました。
一般的に先進国ではコスト・エネルギー消費量が高く、処理効果も高い好気性排水処理技術が使われ、一方、途上国ではコスト・エネルギー消費量が低いものの、処理効果が十分ではない嫌気性排水処理技術が使われています。東北大学、APEXでは、嫌気性と好気性技術を組み合わせて低コスト化・高効率のこの排水処理システムを開発していますが、東北大学では、好気性部分にDHS技術(下向流スポンジ型リアクター)という独自の技術を開発しています。
東北大学では5年という長い年月をかけてノンストップで実験を続けてきたことが印象的でした。そしてこの技術を積極的に国際ジャーナルにアピールした結果、現地で大きなインパクトを与え、インド政府もこの技術を取り入れるために日本に調査団を派遣するほど導入にも積極的だったということです。インドにおける需要の高さがうかがえました。



講演2「アジア地域に適合的なコミュニティ排水処理システムの開発と普及」 受付はAPEXのボランティアのみなさんです
続く講演2では、APEXの田中より「アジア地域に適合的なコミュニティ排水処理システムの開発と普及」についてお話をさせていただきました。APEXでは好気性部分に立体格子状回転円板という技術を取り入れています。APEXのプロジェクトはインドネシアを拠点とし、東北大学よりも小規模なコミュニティレベルの生活排水処理を行っているところに特徴があります。排水処理システムの設置から住民の自立的な運営にいたるまでの流れをご紹介するなかで、APEXがどのような活動を行ってきたのかについて、より詳しくおわかりいただけたのではいでしょうか。
現在東北大学とAPEXは、両者ともに新規プロジェクトを開始し、独自に開発した技術の実機化と普及の段階に入っています。今回のワークショップでは、技術的な内容だけでなく、インドやインドネシアの環境状況にも触れました。日本では、今でこそ原発問題に起因する「水」にまつわる問題をしばしば耳にしますが、途上国ほど「排水」の不便さを感じることなく生活を送ることが出来ます。今回の講演を聴き、東北大学とAPEXの技術を普及させていくことも重要ですが、それに伴い、研究者や技術者の方だけでなく、一般の方にもアジアが抱えている問題や現状について考えていただけるようなる機会を提供することも私たちの役目なんだと、改めて認識しました。
今回のワークショップでは、日頃よりAPEXの活動をご支援してくださっている方や、研究者、学生の方など、たくさんの方とお会いすることができました。また当日は、2011年APEXスタディーツアーに参加した学生さんが会場運営のお手伝いをしてくれました。ご来場していただいたみなさま、お足元が悪いなか当ワークショップにご参加いただき、本当にありがとうございました。
(APEX 北田万理)
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