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インドネシアを中心に活動を行う特定非営利活動法人 APEXのスタッフ日記です。ここに書かれたことはスタッフの個人的見解であり、APEXの公式見解とは異なる場合があります。

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【現地レポート】各都市の概要と候補地の選定について

排水処理事業対象都市の地図 JICA草の根技術協力事業「インドネシアの都市部住宅密集地域における住民参加型コミュニティ排水処理システム普及促進事業」では、中部ジャワ州のテガール市、プカロンガン市、ソロ(スラカルタ)市、バリ州のタバナン県の4都市に計7カ所以上のコミュニティ排水処理設備を設置する予定です。それぞれの排水処理設備では、コミュニティの大きさにもよりますが、およそ100世帯の住宅から出る排水を処理します。

 ここではまず、4都市のそれぞれの特徴や衛生設備に関する状況を述べたいと思います。テガール市およびプカロンガン市はともに中部ジャワ州北部の海沿いに位置し、人口25万~30万人の中堅都市です。ソロは中部ジャワ州の東端内陸部に位置する人口56万人の大都市で、ジョクジャカルタと同様に王宮があり、観光産業も盛んです。バリ州のタバナン県タバナン郡は人口6万3千人の小規模都市で、市の周辺を流れる川の下流域にはタナ・ロット寺院やプラック・サンドビーチなどの観光スポットがあります。各都市の主な特徴を以下にまとめました。

テガール市 プカロンガン市
面積(km2) 39.48 46.25
人口 249,000(2008年) 274,000(2008年)
産業 商業、サービス業、製造業(食品加工、金属加工、繊維、バティック、造船等) 商業と製造業(バティック、水産加工等)
セプティック・タンク普及率 85% 60%
セプティック・タンク管理状態 管理状態が悪く、汚泥の抜き出しが適正に行われていない。 管理状態は悪く、また市の汚泥処理能力も不足している。
その他の衛生設備の設置状況 40%の家庭にはトイレがなく、川などを利用している。
市内の井戸の汚染状況 市内27地区のすべてでセプティック・タンクと井戸の平均距離が10m以下。そのうち、12地区では5m以下に近接し、多くの井戸の汚染をもたらしている。 2007年の調査では、市内の井戸水22サンプルのうち、14サンプルが汚染されていた。
その他 標高が低く、地域によっては海水が頻繁に浸水する。 中小のバティック産業が多く、その排水による問題も大きい。標高が低く、地域によっては海水が頻繁に浸水する。
排水処理施設の設置状況 コミュニティ排水処理施設5ユニットが設置済み コミュニティ衛生施設として、MCKが4ユニット(計76家族分)設置済み
今後の衛生設備設置計画 2014年までに、セプティック・タンクの普及率を90%に、コミュニティ排水処理設備を10ユニットに増やす予定 2014年までに、セプティックタンク付きのトイレ普及率を90%に増やす予定


ソロ(スラカルタ)市 タバナン県タバナン郡
面積(km2) 40.04 51.4
人口 562,000(2006年) 63,172(2009年)
産業 サービス、商業・ホテル・レストラン、製造業(バティック、印刷、食品加工、機械等) 商業、サービス業
セプティック・タンク普及率 83%
その他の排水処理設備の設置状況 2系列の下水道が設置されているが、普及率は市の人口の8.38%(2007年)にとどまる。 トイレ排水はセプティックタンクで処理し、生活雑排水は、未処理で川か排水溝に放出している
市内の井戸の汚染状況 市内の井戸水のほとんどが汚染されているが、これはセプティックタンクの浸出水に起因すると考えられる。
排水処理施設の設置状況 コミュニティ排水処理施設3ユニット(計265軒分、うちMCK2ユニット)があり、他に2ユニット設置中。 3ユニットのコミュニティ排水処理設備が稼働し、1ユニット建設中。しかし、合計処理能力は270軒分にとどまる。
今後の衛生設備設置計画 既存下水道の普及率を20%とすること、毎年2-3ユニットのコミュニティ排水処理設備の追加を計画している。

 以上の4都市は、2009年12月からインドネシアで開始された、PPSP(住民居住地域における衛生改善促進プログラム)にも参加しています。このPPSPというプログラムは、参加する都市がワーキンググループを組織して、都市衛生改善戦略(SSK)を策定し、それにもとづく実行計画にしたがって、衛生改善をすすめるものです。

 現在は各都市のPPSPのワーキンググループや協力先のローカルNGOとともに、複数ある排水処理設備設置の候補地をまわり、設置場所を絞り込んでいる状況です。

 各政府機関との会合や、実地検証、住民への聞き取り調査などを行い、①必要性(住民の要望があるか)、②実現可能性(実現にあたって技術的な障害などがないか)、③有効性(設置することで良い影響を与えうるか)、④継続性(住民による継続運営が可能か)、⑤モデル性(他の地域のモデルとなりうるか)の5つの観点から選定していきます。この候補地の選定が終わると、住民向けの学習会や住民との会合を行い、住民の合意を形成する段階に入ります。

プカロンガン市政府機関との打ち合わせ タバナン郡での聞き取り調査
(左:プカロンガン市政府機関との打ち合わせ、右:タバナン郡での聞き取り調査)

プカロンガン市内の排水溝と住民 テガール市内の排水溝
(左:プカロンガン市内の住宅のそばに作られた排水溝と住民、右:テガール市内の排水溝)

(APEX彦坂)
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