運転開始後のトラブルシューティング@ランドゥングサリ地区
4月15~17日のプカロンガン市、テガール市への出張報告のつづきです。
15日はプカロンガン市のパンジャン・ウェタン地区への訪問 (パンジャン・ウェタン番外編)に引き続き、夜はランドゥングサリ地区の住民の皆さんとのミーティングでした。
今回の議題は、
1.井戸の汚染
2.電気代について
です。
現地協力NGO・ビンタリ財団のロビックさんが進行をつとめました。

どうやら、「排水処理施設ができてから井戸水が汚染されている」と言っている人がいるようでした。
でも、これは少しおかしな話で、
トイレ排水を含めた家庭排水が、パイプできちんと処理施設に流れて処理されれば、
汚染は起こるはずがないんです。
おかしいなぁ、と思いつつ
「大丈夫ですよ、汚染はありませんよ」
と説明・太鼓判をしました。
電気代については、
「初めの説明では Rp.150,000(約1500円) くらいしか電気代かからなくて、毎日お金を集めても1家族当たり Rp.200(約20円) くらいだって言ってたのに、今は電気代が Rp.400,000(約4000円) で毎日 Rp.500 集めないといけないみたいだよ」
という住民からの質問でした。
これには実は理由があります。
それは、
1.ランドゥングサリ地区の排水量を実際に測定してみると、インドネシアの平均(0.5m3/家族・日)よりも多い、約1m3/家族・日になっていること。
理由を知るために聞き取り調査をしてみたところ、家庭内工業の洗浄廃水や、雨季の洪水のためらしいということがわかっています。
2.初めの説明では、ジョクジャカルタの例を挙げて説明しましたが、ジョクジャカルタでは処理施設の電気設備は回転円板の動力しかありません(回転円板とは?、回転円板の動画はこちら)。一方でランドゥングサリ地区では、地形的な問題から、処理水の放出にポンプアップが必要で、そのぶんの電気代がかかることになってしまいました。
3.ジョクジャカルタの回転円板を動かしているモーターは、電気の種類的に電気代を安くできる工業用のモーターを使っていました。建設当時(2008年)には、これしか売っていなかったようです。でも、この工業用モーターを家庭用の電源で使うためには、特別な装置が必要なのです。そして、その装置は高い(Rp.3,000,000、日本円で約3万円)うえに壊れやすいと。。。ジョクジャカルタと同じモーターを使うと、電気代は1か月間に約 Rp.100,000(約1000円)節約できますが。。ジョクジャカルタの2つのコミュニティのうち、1つは5年間で1回、もう1つは3回も壊れているとのことです。電気代の節約分のもとがとれるかは、はっきり言って「かけ」なレベルです。。
といったことです。
あと一つ付け足すと、実は初めの説明会では Rp.200~600と説明していましたが、
住民のみなさんは「安いほうだけ」覚えていたようです。心理的にはしょうがないですが(笑)
そんなようなことを説明しつつ、住民の皆さんも理解してくださったようです。

今回のミーティングにも、たくさんの人が参加してくださいました。
「電気代が高い」
と言われた時は「みなさん、施設の運転資金をはらってくれるかな」と心配しましたが、
住民のみなさんの理解のもと、うまくまとまりそうです。
。。。。。。。
今回の旅も、もうすぐ終わりだなー、と思っていた17日、事件がありました。
ミーティングの議題にもなっていた、「井戸の汚染問題」が突然新聞記事になっていたのです。
見出しに大きく「井戸が汚水で汚染」。。。
プロジェクトにとっては打撃です。
というか、どうしてこんなことになってしまったの?
という感じでしたが。。
それでも運よく新聞社の記者とコミュニティを回る機会をもつことができ、問題を訴えている住民のところを回りました。
みなさんの話を伺いながら、原因を明らかにするために配管などをチェックすると。。。
家のすぐそばに据え付けられているコントロール槽が。。。。

本来は『槽』なのですが、開けてびっくり、、土で埋められていました。。。
台所排水、お風呂、トイレ排水→各家庭のパイプ→コントロール槽→公共のパイプ→。。。→処理施設
といった流れなので、コントロール槽が埋められてしまうと排水は詰まってしまいます。
この結果、どこからか排水が漏れ出して井戸水が汚染されたのかもしれません。
そして、もう1件。
こちらは割と簡単で、井戸の構造上の問題により井戸に砂が混じって濁っているだけでした。
一緒にコミュニティを回り、記者さんも理解してくれた様子。
最後に、処理施設の説明をしました。

処理水がきれいになっている様子も見てもらいました。
左から未処理、嫌気処理前、嫌気処理後、回転円板による処理後の放出水です。

次の日には、記事の誤りを修正する記事が掲載され、一安心です。

「排水処理施設は汚染源ではあらず」
という見出しで、前日に見て回ったことや説明したことが書いてありました。
とりあえずよかったですが、予想もしないことが起こるものだなぁと思いました。
(尾上 保子)
15日はプカロンガン市のパンジャン・ウェタン地区への訪問 (パンジャン・ウェタン番外編)に引き続き、夜はランドゥングサリ地区の住民の皆さんとのミーティングでした。
今回の議題は、
1.井戸の汚染
2.電気代について
です。
現地協力NGO・ビンタリ財団のロビックさんが進行をつとめました。

どうやら、「排水処理施設ができてから井戸水が汚染されている」と言っている人がいるようでした。
でも、これは少しおかしな話で、
トイレ排水を含めた家庭排水が、パイプできちんと処理施設に流れて処理されれば、
汚染は起こるはずがないんです。
おかしいなぁ、と思いつつ
「大丈夫ですよ、汚染はありませんよ」
と説明・太鼓判をしました。
電気代については、
「初めの説明では Rp.150,000(約1500円) くらいしか電気代かからなくて、毎日お金を集めても1家族当たり Rp.200(約20円) くらいだって言ってたのに、今は電気代が Rp.400,000(約4000円) で毎日 Rp.500 集めないといけないみたいだよ」
という住民からの質問でした。
これには実は理由があります。
それは、
1.ランドゥングサリ地区の排水量を実際に測定してみると、インドネシアの平均(0.5m3/家族・日)よりも多い、約1m3/家族・日になっていること。
理由を知るために聞き取り調査をしてみたところ、家庭内工業の洗浄廃水や、雨季の洪水のためらしいということがわかっています。
2.初めの説明では、ジョクジャカルタの例を挙げて説明しましたが、ジョクジャカルタでは処理施設の電気設備は回転円板の動力しかありません(回転円板とは?、回転円板の動画はこちら)。一方でランドゥングサリ地区では、地形的な問題から、処理水の放出にポンプアップが必要で、そのぶんの電気代がかかることになってしまいました。
3.ジョクジャカルタの回転円板を動かしているモーターは、電気の種類的に電気代を安くできる工業用のモーターを使っていました。建設当時(2008年)には、これしか売っていなかったようです。でも、この工業用モーターを家庭用の電源で使うためには、特別な装置が必要なのです。そして、その装置は高い(Rp.3,000,000、日本円で約3万円)うえに壊れやすいと。。。ジョクジャカルタと同じモーターを使うと、電気代は1か月間に約 Rp.100,000(約1000円)節約できますが。。ジョクジャカルタの2つのコミュニティのうち、1つは5年間で1回、もう1つは3回も壊れているとのことです。電気代の節約分のもとがとれるかは、はっきり言って「かけ」なレベルです。。
といったことです。
あと一つ付け足すと、実は初めの説明会では Rp.200~600と説明していましたが、
住民のみなさんは「安いほうだけ」覚えていたようです。心理的にはしょうがないですが(笑)
そんなようなことを説明しつつ、住民の皆さんも理解してくださったようです。

今回のミーティングにも、たくさんの人が参加してくださいました。
「電気代が高い」
と言われた時は「みなさん、施設の運転資金をはらってくれるかな」と心配しましたが、
住民のみなさんの理解のもと、うまくまとまりそうです。
。。。。。。。
今回の旅も、もうすぐ終わりだなー、と思っていた17日、事件がありました。
ミーティングの議題にもなっていた、「井戸の汚染問題」が突然新聞記事になっていたのです。
見出しに大きく「井戸が汚水で汚染」。。。
プロジェクトにとっては打撃です。
というか、どうしてこんなことになってしまったの?
という感じでしたが。。
それでも運よく新聞社の記者とコミュニティを回る機会をもつことができ、問題を訴えている住民のところを回りました。
みなさんの話を伺いながら、原因を明らかにするために配管などをチェックすると。。。
家のすぐそばに据え付けられているコントロール槽が。。。。

本来は『槽』なのですが、開けてびっくり、、土で埋められていました。。。
台所排水、お風呂、トイレ排水→各家庭のパイプ→コントロール槽→公共のパイプ→。。。→処理施設
といった流れなので、コントロール槽が埋められてしまうと排水は詰まってしまいます。
この結果、どこからか排水が漏れ出して井戸水が汚染されたのかもしれません。
そして、もう1件。
こちらは割と簡単で、井戸の構造上の問題により井戸に砂が混じって濁っているだけでした。
一緒にコミュニティを回り、記者さんも理解してくれた様子。
最後に、処理施設の説明をしました。

処理水がきれいになっている様子も見てもらいました。
左から未処理、嫌気処理前、嫌気処理後、回転円板による処理後の放出水です。

次の日には、記事の誤りを修正する記事が掲載され、一安心です。

「排水処理施設は汚染源ではあらず」
という見出しで、前日に見て回ったことや説明したことが書いてありました。
とりあえずよかったですが、予想もしないことが起こるものだなぁと思いました。
(尾上 保子)
- 関連記事
-
- プカロンガン市:パンジャン・ウェタン地区でのミーティング
- 運転開始後のトラブルシューティング@ランドゥングサリ地区
- プカロンガン市パンジャン・ウェタン地区の川の行方は?