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インドネシアを中心に活動を行う特定非営利活動法人 APEXのスタッフ日記です。ここに書かれたことはスタッフの個人的見解であり、APEXの公式見解とは異なる場合があります。

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巨大機械―メガマシンを考える 2016「開発とNGO」研究会第2回

APEXでは、NGO活動の基礎となるような世界観を形成していこうと、「開発とNGO」と題する研究会を行っています。2016年度は、これからの技術と社会のあり方について本質的な観点から考えていこうと、全6回からなるシリーズ〈機械と人間〉を開催しています。そしてその第2回が、6月26日(日)行われました。


研究会2016_02_1第2回では、サブタイトルを《古代的メガマシンの成立から近代の幕開けまで》と題しまして、前回に引き続き、メインテキストであるルイス・マンフォードの『機械の神話』を取り上げました。この本のキータームの一つである「巨大機械―メガマシン」は、直接この本の中で定義こそされてはいませんが、おおよそ、強大な権威によって支配される大規模な技術―システムであると思われます。それは、大きな成果をもたらしてきた一方で、さまざまな問題をもはらむ技術―システムのあり方でもあります。それに対してAPEXの掲げている「適正技術」は、このような技術体系の持つ問題を緩和・解決する、あるいは補完する、マンフォードの言葉を借りれば、『「民主的」で分散化された技術』に近いものなのではないかと思われました。

ディスカッションでは、この著書で書かれている内容についてはさまざまな検証や議論が必要であるとしつつ、マンフォードの問題提起やその姿勢、あるいは、1960年代の著作であって、先史時代からの流れをこれほどまでさまざまな側面から俯瞰しているという点においては、優れた著書であるとの意見がありました。この本を足掛かりに、わたしたちが生きている現代、あるいは日本やアジアという文脈の中で「巨大機械―メガマシン」をどう捉え、またそれを乗り越えつつ今後の社会をどのように展望していけるのか、個々で考えていくべき問題だと思います。

本書では、道具と容器、馴致と栽培化など、他にも興味深いキーワードが多く出てきましたが、残念ながら、時間の制約もあり、そのような概念について議論を十分深めることができなかったのは、司会としての反省点でもあります。

ただ、今年度の研究会はまだまだ続きます。今回、2回にわたって取り上げ、読み進めてきた『機械の神話』第一巻ですが、その内容を別の回で持ち出して議論することにはなんの憚りもありませんし、むしろ、回を重ねていくごとに、それまで扱った本の内容をどんどん含めていくことで議論も深まっていくのではないかと思います。

次回、7月31日(日)に開催します第3回は、テーマを「人間と道具の節度ある関係」と題し、イヴァン・イリイチの『コンヴィヴィアリティのための道具』を取り上げます。実はこの本は、これまでの研究会でも何度か取り上げたことのある馴染みの深い本です。ちょうど、2015年に新訳版が出て手に入れやすくなりましたので、まだ読んだことのない方もぜひ一度手に取っていただき、そして「誰かと議論してみたい!」と思ったらAPEX研究会にお気軽にお越しください。いつでもお待ちしています。(塩原)

2016年度「開発とNGO」研究会の詳細・申込みはこちら

研究会2016_02_2
イタリアの博物館に展示されているダビンチの発明品なども紹介されました

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