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インドネシアを中心に活動を行う特定非営利活動法人 APEXのスタッフ日記です。ここに書かれたことはスタッフの個人的見解であり、APEXの公式見解とは異なる場合があります。

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電球から感じる頼もしさ―無電化村への炭のガス化発電システム設置

APEXの国内事業・広報担当の塩原です。2014年に適正技術人材育成研修から派生して開始された新規事業「西カリマンタン州の無電化村での炭のガス化発電事業」ですが、2016年7月下旬に、ようやく無電化村に炭のガス化発電システムが搬入されました。このタイミングで現地を訪問し、住民への運転管理研修や、政府の方を含めてのワークショップに参加してきましたので、今回はそのときの様子や感じたことを記事にしたいと思います。

(事業の概要、これまでの経緯については炭のガス化事業のカテゴリをご参考ください)

設置中
前回の記事以降は、ガス化発電実験を継続し、問題点を洗い出しつつ装置の改善をしました。その後、まだまだ改善の余地はありそうでしたが、7月のタイミングで一度現地の村に持って行こうということになり、7月22日からの約1週間で村への搬入・設置とそれに合わせて運転管理研修とワークショップを行いました。

孤立した集落に電気が通っていない原因の一つは、道路が未整備であることです。搬入ではポンティアナックまでは空路を使い、そこからは車で運びました。

Pictures道路舗装

通常、私たちが村を訪問するときは車が入れるところまで車で移動し、そこからはバイクに乗って、でこぼこ細道や板切れ一枚の橋などを通って40分ほどかけて移動しますが、今回の装置の搬入では、回り道をして軽トラックで村まで運びました。もちろん、道路の状態は悪く、村の人が十名ほどトラックを囲んで同行し、途中で悪い道を整備したり、坂道ではトラックを押したりして、なんとか運び込みました。

車を押す

村内のガス化炉を設置する場所には、村の人があらかじめ屋根と囲いつきの場所を用意してくれていて、住民が期待して待っていてくれていたんだな、という実感が沸きました。

屋根と囲い

無事に設置が完了し、住民の有志で結成された運転チームのメンバーに運転や保守についての研修を行いました。実際にガス化炉を動かし、炭の充填方法なども、代表の田中からていねいにレクチャーがなされました。

研修座学
研修実地

今回設置したガス化炉は、だいたい夕方6時から9時くらいの3時間の運転を想定して設計されていて、安定的な運転のためには、炭からの生成ガスにガソリンを少し混ぜて使うことになるだろうと考えていました。ところが、研修が終わったあとも、その日は住民が自主的に運転をつづけ(深夜0時過ぎ頃まで、約7時間以上!)、さらに最後の3時間ほどは炭からの生成ガスのみでの運転にまで至ったとのことです。さらに、そこで得た電気は即座に14軒ほどの家の照明やテレビ等に使われ始めました。事前に各戸に電線網がつながれていて、村のみなさんは本当に待ち望んでいたのだろうなぁとしみじみ。

テレビ

次の日は、このシステムを見にきた周辺地域の住民や政府の方々を迎えて、村でワークショップを行いました。ブンブン村の村長さんからは、この事業はまさに村のニーズと合致していて、今後の村の発展に多大な寄与をするものであるとの感謝の言葉をいただきました。

ワークショップ
笑顔

さて、ここからは私の個人的な感想ですが、今回の訪問で私が感じたことは、電気の温かさや頼もしさについてです。

普段、何げなく私たちが使っている電気や水など、生活に必要なインフラは、日本ではほぼ全て外部化されています。オペレーションもすべてプロに任せていて、安心・安定したサービスを受けていると感じます。

一方、今回ガス化炉を設置したことで、この村の電気は、村の運転チームの人が自分たちで作ることになったわけです。普通に考えたら、供給量も不安定だし、運転もめんどうで、さらに発電機も家のすぐ近くに合ってうるさいのではないかと思ってしまいます。

でも、実際に村の人が発電した電気による電球のもとで過ごしてみると、なんだか妙な安心感がありました。途中停電することもありましたが、その時は「運転チームどうしたどうした?」という感じで、みんなでざわざわ。和やかささえ漂います。エンジン音さえも、運転管理チームの人たちががんばってすぐそこで電気を作っているのだという存在感となって、ありがたさ・頼もしさを感じさせる音に聞こえました。

運転ちーむ2
写真:村の運転管理チームのメンバー

先進国のようにインフラが外部化された社会では、私たちは煩わしさから解放され、そこに用いられる技術についても無関心でいられると勘違いしてしまいます。ところが、それは必然的に人や自然の関わりを分断したり、何かが起こった時に自分たちでは対処ができなくなってしまうような構造を生み出しているのではないでしょうか。私たちが求めているのは、いったい何に対しての「安心」や「安定」なのでしょうか。

電球

この事業で開発している技術も、まだまだ村の人たちが継続的に使ってくれるようになるためにはさまざまな改善が必要になると思います。でも最後は、住民の生活改善、コミュニティ形成、人々のキャパシティ向上、地域の資源循環等、いろいろな意義を持つこの技術が人々のニーズに合致して、地域に定着していってくれればと思います。

集合写真

APEX塩原)
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