炭のガス化事業がインドネシアのWEB新聞に掲載
APEXでは、インドネシア西カリマンタン州の無電化村にて、現地で生産した炭を用いた発電事業に取り組んでいますが、10月に炭のガス化装置第2号機を村に導入したときのようすがインドネシア最大の全国紙「KOMPAS」の電子版に掲載されました。
10月25日~27日のポンティアナックの現地を訪問したのですが、その道中、レゲエ風の若い男性がずっとついてきていたので、現地パートナー団体のスタッフですかと聞いたところ、自分は新聞のライターなのだということでした。聞いてみるとインドネシア最大手の電子新聞であるKOMPAS.comの記者さんでした。日本で考える新聞記者のイメージとあまりにも違うのでびっくりしました。(写真:記者のヨヨンさん)
今回の記事では、炭のガス化事業の全般的な紹介として、地域の現状やプロジェクトの意義などがわかりやすく書かれています。途中には、村への険しい道のりや、実際に装置を動かしている場面の映像も挿入されているので、なんとなく現地のようすがおわかりいただけるのではないでしょうか?
駐在員の須藤スタッフが日本語要約してくれたものを下記に貼付しますので、よろしければぜひ読んでみてください。
なお、炭のガス化発電事業は近々日本語でも映像化予定です。ご期待ください。
APEX 塩原
↓KOMPAS.com 記事の日本語要約↓
「炭がカリマンタン遠隔地を明るく照らす」

夜に照明を得るというサタック村の夢が実現した。もう、村で暗い夜を過ごすことはなくなった。
インドネシア西カリマンタン州サダニアン郡ブンブン村の中に位置しているサタック地区には、208の世帯が暮らしている。都市部からさらにバイクに乗り1時間ほどで村に着くが、この村には電力網が達していない。住民は発電機を持ち、1台の発電機を2、3の家で共有している。1台の発電機に必要なガソリンは一晩当たり3~5リットルで、ガソリン代は1リットルあたり1万ルピアである。
昨年から、サタック地区の住民はディアン・タマ財団の炭焼き総合技術開発センター(PPTAT)の研修と支援を受けている。PPTATは1987年に設立され、炭に関する適正技術の開発を通じた農村住民の生活向上を目的にしている。ディアン・タマ財団の代表Herculana Ersinta氏は「炭の利用には多くのメリットがある。有機農業、家畜産業、コミュニティ開発と持続可能性、また炭のガス化技術を使い、電気エネルギー源のための燃料としても使用することが出来る」と言う。
木炭を一酸化炭素(CO)に変換するプロセスの研究は2年前から開始された。炭のガス化発電技術の開発は、日本のNGOであるAPEX (Asian People's Exchange)と、ジョクジャカルタに拠点を持つディアン・デサ財団からの協力を得ている。APEXは1980年代以降、インドネシアにおける住民の生活向上や適正技術の開発に取り組んでいるNGOで、今回の実験装置はAPEXの田中代表によって設計されたものである。サタック地区でのプロトタイプの実験を数ヶ月前に終え、2016年10月27日にAPEX代表の田中氏が村を再度訪問し、新しい装置でテストを行った。この2回目の実験では、炭を燃やして得られたCOで2.5キロワットの容量を持つ発電機を動かすことに成功した。炭のガス化発電プロセスでは、ガス化炉で生成したガスがパイプ管を通り、冷却器、フィルタを通して発電機に導入される。村では、ディアン・デサ財団のYanto氏がオペレーターとして村の人々のトレーニングを行った。
現地で原料としての炭を見つけることは非常に簡単で、サタック地区やその周辺の村は炭を長い期間生産していることから、田中氏はそれらの炭を活用したいと考えた。この炭のガス化技術の実験は、サタック地区で行われたのが世界初である。
「私たちは化石燃料や石油をエネルギー源として使用してきた。炭のガス化装置はまだ開発段階であるが、成功した場合、これはブレークスルーになる。」と田中氏は言う。
無電化村で利用可能な分散型エネルギーとしては太陽光発電などが認知されているが、弱点もある。欠陥があった場合、修理や改良が困難であり、ソーラーパネルも海外からの輸入に頼らなければならない。ガス化発電プラントはおよそ1,000万ルピアのコストで作ることができ、原料である炭も入手が簡単だ。
「おそらく、炭を利用した発電技術の実証実験が行われたのはサタック地区が世界初であり、その成功は非常に重要である。インドネシアには無電化地域が多数にあり、潜在的なマーケットも大きい」と田中氏は言う。装置の開発が成功すれば、西カリマンタン州だけではなく、他の地域あるいはインドネシア国外にも可能性は広がる。
村長のMarianus氏は、田中氏の技術が村の住民、特に発電機を持っていない家の住民に直接的な利益をもたらしたと言う。「私たちは、この装置を、それが機能し続けるようにメンテナンスを行い、維持していきたい」とMarianus氏は述べる。氏の言葉は、いまだインフラが整備されていない、すべての農村の望みでもある。
(原文:Kompas.com - Regional Cahaya "Terang dari Arang di Pedalaman Kalimantan"、日本語要約:須藤スタッフ)

今回の記事では、炭のガス化事業の全般的な紹介として、地域の現状やプロジェクトの意義などがわかりやすく書かれています。途中には、村への険しい道のりや、実際に装置を動かしている場面の映像も挿入されているので、なんとなく現地のようすがおわかりいただけるのではないでしょうか?
駐在員の須藤スタッフが日本語要約してくれたものを下記に貼付しますので、よろしければぜひ読んでみてください。
なお、炭のガス化発電事業は近々日本語でも映像化予定です。ご期待ください。
APEX 塩原
↓KOMPAS.com 記事の日本語要約↓
「炭がカリマンタン遠隔地を明るく照らす」

夜に照明を得るというサタック村の夢が実現した。もう、村で暗い夜を過ごすことはなくなった。
インドネシア西カリマンタン州サダニアン郡ブンブン村の中に位置しているサタック地区には、208の世帯が暮らしている。都市部からさらにバイクに乗り1時間ほどで村に着くが、この村には電力網が達していない。住民は発電機を持ち、1台の発電機を2、3の家で共有している。1台の発電機に必要なガソリンは一晩当たり3~5リットルで、ガソリン代は1リットルあたり1万ルピアである。
昨年から、サタック地区の住民はディアン・タマ財団の炭焼き総合技術開発センター(PPTAT)の研修と支援を受けている。PPTATは1987年に設立され、炭に関する適正技術の開発を通じた農村住民の生活向上を目的にしている。ディアン・タマ財団の代表Herculana Ersinta氏は「炭の利用には多くのメリットがある。有機農業、家畜産業、コミュニティ開発と持続可能性、また炭のガス化技術を使い、電気エネルギー源のための燃料としても使用することが出来る」と言う。
木炭を一酸化炭素(CO)に変換するプロセスの研究は2年前から開始された。炭のガス化発電技術の開発は、日本のNGOであるAPEX (Asian People's Exchange)と、ジョクジャカルタに拠点を持つディアン・デサ財団からの協力を得ている。APEXは1980年代以降、インドネシアにおける住民の生活向上や適正技術の開発に取り組んでいるNGOで、今回の実験装置はAPEXの田中代表によって設計されたものである。サタック地区でのプロトタイプの実験を数ヶ月前に終え、2016年10月27日にAPEX代表の田中氏が村を再度訪問し、新しい装置でテストを行った。この2回目の実験では、炭を燃やして得られたCOで2.5キロワットの容量を持つ発電機を動かすことに成功した。炭のガス化発電プロセスでは、ガス化炉で生成したガスがパイプ管を通り、冷却器、フィルタを通して発電機に導入される。村では、ディアン・デサ財団のYanto氏がオペレーターとして村の人々のトレーニングを行った。
現地で原料としての炭を見つけることは非常に簡単で、サタック地区やその周辺の村は炭を長い期間生産していることから、田中氏はそれらの炭を活用したいと考えた。この炭のガス化技術の実験は、サタック地区で行われたのが世界初である。
「私たちは化石燃料や石油をエネルギー源として使用してきた。炭のガス化装置はまだ開発段階であるが、成功した場合、これはブレークスルーになる。」と田中氏は言う。
無電化村で利用可能な分散型エネルギーとしては太陽光発電などが認知されているが、弱点もある。欠陥があった場合、修理や改良が困難であり、ソーラーパネルも海外からの輸入に頼らなければならない。ガス化発電プラントはおよそ1,000万ルピアのコストで作ることができ、原料である炭も入手が簡単だ。
「おそらく、炭を利用した発電技術の実証実験が行われたのはサタック地区が世界初であり、その成功は非常に重要である。インドネシアには無電化地域が多数にあり、潜在的なマーケットも大きい」と田中氏は言う。装置の開発が成功すれば、西カリマンタン州だけではなく、他の地域あるいはインドネシア国外にも可能性は広がる。
村長のMarianus氏は、田中氏の技術が村の住民、特に発電機を持っていない家の住民に直接的な利益をもたらしたと言う。「私たちは、この装置を、それが機能し続けるようにメンテナンスを行い、維持していきたい」とMarianus氏は述べる。氏の言葉は、いまだインフラが整備されていない、すべての農村の望みでもある。
(原文:Kompas.com - Regional Cahaya "Terang dari Arang di Pedalaman Kalimantan"、日本語要約:須藤スタッフ)
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