炭のガス化発電事業・1年10ヶ月を締めくくるセミナー

セミナーは4つの講演と炭のガス化発電のデモンストレーションからなり、朝9時から夕方17時までの長丁場となりましたが、みなさん熱心に講演に耳を傾け、ほとんどの人がデモンストレーション後の閉会式の最後まで残ってくれました。現地の方の話によれば、通常のセミナーでは14:00くらいになると人がぽつぽつといなくなるらしく、今回のセミナーへの参加者の関心の高さを驚いていた様子でした。

まず1つ目の講演では、バンドゥン工科大学のHerri先生から、バイオマスガス化技術の概要や技術動向などの発表があり、2つめの講演ではPLN(インドネシア電力公社)のAgusさんより、西カリマンタン州の電力供給の現況や、今後の電力普及の方針などについて説明がありました。それから昼食をはさみ、3つめにディアン・タマ財団のRudiさんから炭の生産・利用による地域開発について、そして最後に、ディアン・デサ財団のHermanさんより(この日欠席したAPEX代表田中の代理として)、このプロジェクトで開発した技術とその意義についてのプレゼンテーションがなされました。

途中、PLNのプレゼンテーションへの質疑応答で、ブンブン村の村長やトホ郡の郡長が、電力がいまだに届かない地域が多くある現状への不満を述べ始めた場面があり少しドキドキしましたが、Herri先生がその場をうまく収めていました。なんとか雰囲気が悪くならずに済んだ…とその時はほっとしたのですが、そんな心配はもともと不要だったようで、昼食のときにはPLNの方も村長も郡長もテーブルを囲んで食事を楽しんでいました。日本とは違って、そのようなときにずるずると険悪な雰囲気が長引かないのは、インドネシア人のいいところなのかな、と感じました。
4つの講演が終わったあとは、ホテルの駐車場の一角にに運び込んでいた炭のガス化装置の実機を使ったデモンストレーションを行いました。装置の制作やオペレーションの面で協力してくれている、ディアン・デサ財団のYantoさんとUdinさんが、数日前から運搬の準備や装置のチェックをしてくれていて、このデモンストレーションもうまくいきました。


こうして、無事に閉会式を迎えたときにはもう17時頃でしたが、席の状況も最初の講演のときとほとんど変わらず、参加者の方々のほとんどが最後まで残ってくれていました。とここで、欠席となった代表理事の田中に代わり、急きょ私が挨拶を頼まれ、前に呼び出されましたが、Rudiさんが私の英語をインドネシア語に同時通訳してくれて、事なきを得ました。
APEXでは、他のプロジェクトでも、事業の展開や技術の普及のための現地のネットワークづくりにも力を入れています。これまでも排水処理事業やバイオマスガス化事業において何度も現地でセミナーを開催していますが、私が実際にインドネシアで開催されるセミナーに参加するのは今回が初めてだったので、インドネシア雰囲気や空気のようなものを知ることができてとても良い経験になりました。

今回のセミナーでできたネットワークが、技術をより現地に適したものにしたり、その開発と普及を通じて、インドネシアやそのほかの地域での住民の生活向上のための活動が起きるきっかけとなることを願っています。また、APEXとしても、継続して支援・協力を続けていければと思います。(塩原)

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