「人間的欲求の理論から―2017「開発とNGO」研究会第1回

2017年度の第1回は、真木悠介著『人間解放の理論のために』(筑摩書房、1971年)をテキストに取り上げ、その第二部「人間的欲求の理論」を中心に、参加者による内容の共有と議論を行いました。

『人間解放の理論のために』は、1969~1971年にかけて雑誌『展望』(筑摩書房)に投稿された論文が核となっているものですが、その内容の深い理解には、マルクスやヘーゲルなどの予備知識や、「未来学」への不信などの当時の時代的背景についても知っていることが望まれます。レジュメに関する質疑では、参加者同士でそれぞれの知識や経験を持ち寄って、それらの予備的な情報を共有しました。

ディスカッションでは、テキスト全体の中での欲求の理論の位置づけや、その理論のキーワードである「解放」「即時・対自」「相剋性・相乗性」「コミューン」などについて議論が交わされました。また、見田さんの論の全体像の中でのこの著作の位置づけ(見田さん自身の考えも含む)や、その射程などについても意見がありました。
第1回としては、記述が硬めであったり、テキストがやや手に入れにくかったことなどからか、欠席者が多めとなってしまった企画側での反省点もありましたが、次回「気流の鳴る音」は、また違ったテイストのテキストとなりますので、またみなさんの活発な議論を期待したいと思います。
最後に、今回の研究会のシリーズについて、少し企画の背景を補足したいと思います。
APEXは、1980年代初頭に開催された近代化や第三世界の問題を考えるゼミナールが源流となってその活動を展開し、団体として設立に至ったという歴史がありますが、見田宗介さんは、そのゼミナールの時代から講師として参加いただいていて(記録によれば、ゼミナール講師としては真木悠介名義)、以降も団体の活動を支えてくれている、APEXにとってはとても縁の深い方の一人です。
また、田中代表理事のともゼミや講座などで長いお付き合いがあり、APEXの活動の根幹にある理念的な部分においても、おそらく最も大きな影響を受けている方の一人だと思います。
これまでの研究会でも単発では何度かテキストを取り上げてきていますが、APEX創立30周年を迎える2017年に、満を持して、見田先生をシリーズとして取り上げることとなったのは、個人的には、重要なことなのではないかと思っています。残る4回でも、深い議論が交わされることを楽しみにしたいと思います。
なお、今年2017年度の研究会はまだ参加のお申込を受け付けていますので、よろしければ今からでもご参加ください。(APEX塩原)
2017年度「開発とNGO」研究会へのお申込・詳細はこちら
- 関連記事
-
- 時間意識の中の生と死―2017年「開発とNGO」研究会第3回
- 「人間的欲求の理論から―2017「開発とNGO」研究会第1回
- 2016年度 適正技術研修報告会にて
コメント
コメントの投稿
トラックバック
http://apex.blog22.fc2.com/tb.php/698-2f304a8d