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インドネシアを中心に活動を行う特定非営利活動法人 APEXのスタッフ日記です。ここに書かれたことはスタッフの個人的見解であり、APEXの公式見解とは異なる場合があります。

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【報告】国際会議「SDGs×適正技術×アジア-持続可能な開発のための適正な技術選択に関する包括的フレームワーク-」

2019年7日(土)、8日(日)に国際会議「SDGs×適正技術×アジア-持続可能な開発のための適正な技術選択に関する包括的フレームワーク-」(特定非営利活動法人APEX主催、東洋大学国際共生社会研究センター、適正技術フォーラム共催)が開催されました。会議は、東洋大学白山キャンパスの125記念ホールで行われ、2日間で延べ133名が参加されました。両日とも、英⇔日の同時通訳付きで行われました。

ブログ用講演中

この会議では、アジアで適正技術関連の活動に取り組んでいる団体の代表をお招きし、お互いの経験を共有しつつ、持続可能な開発のための適正な技術選択に関する包括的フレームワーク案について議論し、参加者・参加団体の賛同を得て、発信を始めることをめざしました。

- 第1日目-
第1日目は、まず、APEX代表理事の田中直から、基調講演として、「持続可能な開発のための適正な技術選択に関する包括的フレームワーク」について意義と素案が発表されました。フレームワーク案の中では、今日の世界が直面している問題を、「貧困・格差の問題」「環境・資源の問題」「人間・労働疎外の問題」という3つの側面から掘り下げ、それぞれの問題を解決する技術のあり方が提案されました。これまでの技術体系ならびに今日の主流的な技術開発は、SDGsなどが目指す「持続可能な社会」とは違う方向に向かっているのではないか、今こそ方向転換をしなければならない時ではないか、という大きな問いかけがなされました。
田中直講演

次に、APEXの現地パートナーでもあるディアン・デサ財団ディレクター、アントン・スジャルウォ氏より、「適正技術の重要な意義-インドネシアにおける水供給の事例より-」というテーマでご講演いただきました。適正技術の前身である中間技術を提唱したシュマッハーとスジャルウォ氏とのやりとりのエピソードなども交えながら、「適正」な技術とは、その地域の環境・政策・経済状況などあらゆる方面の要素を考慮している技術である、とお話いただき、包括的フレームワークがまさに「あらゆる方面の要素を考慮」するための道具となれるのでは、と思いました。また、バリの雨水貯蓄の事例からは、まさに、その場その場の条件に適し、住民のニーズに沿い、持続可能な技術が選ばれ、生み出されていく様子がよく分かり印象的でした。
アントン・スジャルウォ氏講演

休憩をはさみ、第1日目最後の講演では、フィリピンにおけるコミュニティベース再生可能エネルギーシステムのパイオニアであるSIBAT(Sibol ng Agham at Teknolohiya)より、代表のエストレーラ・カタラータ氏にご登壇いただきました。「フィリピンにおけるSDGsに向けた適正技術」というテーマで、地域における再生可能エネルギーシステムや、気候変動にも耐えうる持続可能な農業について、ご紹介いただきました。適正技術の原則についてもお話いただき、ジェンダーの視点など、現状のフレームワークでは直接的には表現されていない点にも触れていただき、とても参考になりました。
エストレーラ・カタラータ氏講演


- 第2日目-
第2日目は、第1日目から引き続き講演と、グループディスカッション、そしてパネルディスカッションの三部構成で実施しました。

第2日目最初の講演として、共催の東洋大学国際共生社会研究センターセンター長、東洋大学教授・副学長の北脇秀敏氏より、「東洋大学国際共生社会センターのSDGsへの貢献」という演題で、ご発表をいただきました。東洋大学国際共生社会センターでは、SDGs達成に向けて、従来型の調査のみならず、途上国での「実践」を重視して活動をされていることを、実例とともにお話いただきました。特に、大学院生などの若い世代が、現場で実践を積むことができるセンターのシステムは、まさに、今の時代に必要なものであると感じました。
北脇秀敏氏講演

次に、インドネシア農村部の生活向上をめざして、小規模水力発電や、太陽光発電によるポンピングシステムの普及に尽力をされている、IBEKA(Inisiatif Bisnis dan Ekonomi Kerakyatan, People-centered Business and Economy Initiative)代表のトゥリ・ムンプニ氏より、「インドネシアにおける、小規模水力・風力発電による自立的経済の促進」というテーマで、ご講演をいただきました。個々人のエンパワーメント、さらにシステム的なエンパワーメントなくして、開発目標の達成はあり得ないこと、また、参加型アプローチによって、支援される側の能力強化がされ、やがては自立して運営ができてこそ、プロジェクトの成功と言えることなど、IBEKAがプロジェクトを行う際に、大切にされているアプローチをお教えいただきました。大切なのは、テクノロジーそのものではなく、それを使う人々を重視することだ、というお言葉が心に残りました。
トゥリ・ムンプニ氏講演

お昼の休憩をはさみ、この国際会議最後の講演として、フィリピンで1952年から貧困解消や環境保全のための活動を続けている、PRRM(Philippine Rural Reconstruction Movement、フィリピン農村復興運動)のアドボカシー・開発協力ディレクター、レベッカ・マライ氏にご登壇いただきました。SDGs採択までの経緯や、SDGs達成に関わっている国連組織などの大きな枠組みのお話から、現状の世界のあり方や問題についてまで広くお話いただき、現代の技術の方向性は本当にこれでよいのか、という疑問を投げかけられました。特に、デジタル時代においての持続可能な社会のあり方とは、という視点は、フレームワーク実践の際に必要になるのではと感じました。また、SDGsの各目標は相互に関連しており、達成には包括的な取組が必要になるため、このフレームワークへ期待を寄せてくださっているそうです。
レベッカ・マライ氏講演

全講演が終了後、グループディスカッションを行いました。
グループディスカッションでは、包括的フレームワークのセクションごとに、「貧困・格差の問題」1グループ、「環境・資源の問題」2グループ、「人間・労働疎外の問題」1グループ、そして英語ディスカッションのグループ1グループと分かれ、英語グループ以外は同館3階の会場へ移動し、議論が行われました。それぞれのグループには、参加者の他に、モデレーター1名、外国人講師と翻訳者(1グループ以外)が入りました。また、今回は新しい手法を取り入れ、フレームワークの各項目と重要な論点について、模造紙の「賛成・どちらかといえば賛成・どちらでもない・どちらかといえば反対・反対」の該当の欄に、理由を添えたポストイットを貼り付けてもらい、議論を進めました。
模造紙

私(ジェンキンソン 陽)は英語グループのモデレーターを担当しましたが、グループメンバーのほとんど全員が大学生・大学院生の参加で、これまでにはなかった視点での議論が行われました。特に、個人的には、「持続可能な社会を今から目指しても遅すぎる。決断は今ではなくて、私たちがまだ生まれていない、数十年前にすでに行われたのだ(持続可能な社会を目指さないという決断)。我々は、最悪の事態が起きたことを想定して、それに向かって準備を進めていくべきではないか」という意見がとても印象的でした。また、このグループでは、現段階のSDGsへの取組が、国レベルのものになってしまい、貧困や環境問題の中心にいる「人々」を置き去りにしている点についても疑問の声があがり、どのような取り組みも、人々と同じ土俵での対話がなされなければいけない、という意見が出ました。
どのグループも、パネルディスカッション開始時刻ぎりぎりまで議論が盛り上がっていたようです。
グループディスカッション

続いて、パネルディスカッションでは、國學院大学教授の古沢広裕氏を座長に迎え、講師をパネラーとして、包括的フレームワークについてさらに議論を深めました。最初に、グループディスカッションモデレーターより、各グループからのフレームワークへの提案がなされ、その発表とフレームワーク内容に対し、パネラーからコメントをいただきました。
モデレーターからの発表パネルディスカッション

フロアとの質疑応答後、現段階でのフレームワークドラフトへの賛同を募り、代表者の講演があった6団体すべて、そして個人として23名の方々からも賛同のご署名をいただきました。これから、包括的フレームワークがブラッシュアップされていくとともに、さらに賛同者が増えることを祈るばかりです。
会場からの質問フレームワークへの賛同

国際会議終了後は、同館にあるレストラン「TRES DINING」に移動して懇親会を開きました。懇親会は、参加者の方々から会議の感想をいただいたり、インドネシア・フィリピン人講師へ日本土産が手渡されたりして、終始にぎやかな雰囲気でした。(ジェンキンソン 陽(みなみ))
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