【報告】持続可能な開発のためのハイレベル政治フォーラムサイドイベント開催
2020年7月10日(金)の日本時間21:00-22:00に、国連の持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラムのサイドイベントとして「持続可能な開発のための適正な技術選択に関する包括的フレームワーク-ポスト・パンデミック社会における技術の全体的展望-」が開催されました (主催:APEX、共催:認定NPO法人国際協力NGOセンター、一般社団法人SDGs 市民社会ネットワーク、The Philippine Rural Reconstruction Movement)。イベントは、オンライン(Zoom)で行われ、アジア、アフリカ、欧米、南米などのNGO、国際機関、大学、企業などから、計81名が参加されました。このイベントは英語で行われました。

イベントでは、まずAPEX代表理事の田中直から、「持続可能な開発のための適正な技術選択に関する包括的フレームワーク」の発表がありました。このフレームワークでは、今日の世界が直面している問題を、「貧困・格差の問題」、「環境・資源の問題」、「人間・労働疎外の問題」という3つの側面から掘り下げ、それぞれの問題を緩和・解決していく技術のあり方を10のガイドラインにまとめたものです。開発途上国の技術選択にも、先進国の技術選択にも適用でき、それに沿って技術選択を行えば、持続可能な開発目標(SDGs)の多くを達成できること、そしてパンデミック後の持続可能な社会形成にも多いに貢献できることが説明されました。適正な技術選択をもって持続可能な社会を目指そうという、強いメッセージが発せられました。

次に、フィリピンで1952年から貧困解消や環境保全のための活動を続けている、PRRM(Philippine Rural Reconstruction Movement、フィリピン農村復興運動)のアドボカシー・開発協力ディレクター、レベッカ・マライ氏より、コメントをいただきました。新型コロナウイルスの影響で、過去30年で改善されてきた貧困と格差解決の進捗が10年ほど遅れる可能性があること、貧困層や取り残された人々がこのパンデミックに一番影響を受けていることに警鐘を鳴らされました。IT(情報技術)はこのパンデミック下で世界中をつなげる大切な技術である一方、人権などへの影響はあまり議論されていないことにも懸念を示され、技術は、1.現地の人々の需要に応じるべき、2.コロナ下では、公衆衛生的介入などが優先されるべき。特に女性のエンパワーメントが大切。3.(特に無料の)インターネットアクセスを普及させていくべき。とお話いただきました。

続いて、最新の技術が最貧困層に与える影響をモニターしているETCグループ(Action Group on Erosion, Technology and Concentration)代表のエレニータ・ダニョ氏にコメントをいただきました。ダニョ氏は、技術を使って持続可能な世界をもたらそうという試み(環境問題の解決など)が過去数十年にわたりされてきたが、状況は悪くなるばかりであることを指摘し、参加型の技術評価を行わなければ、最先端技術はさらに地球にダメージを与える可能性があると警鐘を鳴らしました。

最後に、一般社団法人SDGs 市民社会ネットワーク(SDGsジャパン)代表の稲場雅紀氏よりコメントをいただきました。新型コロナウイルスに対処すべく、さまざまな技術開発がされている中で、大企業による知的財産の独占や新しい技術への不平等なアクセスについて注意喚起されました。新型コロナウイルスの予防・診断・治療等の技術は、すべての人にとって手が届くものでなければいけないこと、マスクや手洗いなどいわゆる「ローテク」な技術も必要であること、また、コロナで重症化する持病をもたらす環境についての取り組みもされなければいけないことを提起されました。
今回はAPEXとして初めての試みでしたが、さまざまな方々の助けを借りて、盛況のうちに無事終えることができました。ご協力そしてご参加いただいたみなさま、本当にありがとうございました。
(ジェンキンソン 陽(みなみ))
【このイベントの録画】

イベントでは、まずAPEX代表理事の田中直から、「持続可能な開発のための適正な技術選択に関する包括的フレームワーク」の発表がありました。このフレームワークでは、今日の世界が直面している問題を、「貧困・格差の問題」、「環境・資源の問題」、「人間・労働疎外の問題」という3つの側面から掘り下げ、それぞれの問題を緩和・解決していく技術のあり方を10のガイドラインにまとめたものです。開発途上国の技術選択にも、先進国の技術選択にも適用でき、それに沿って技術選択を行えば、持続可能な開発目標(SDGs)の多くを達成できること、そしてパンデミック後の持続可能な社会形成にも多いに貢献できることが説明されました。適正な技術選択をもって持続可能な社会を目指そうという、強いメッセージが発せられました。

次に、フィリピンで1952年から貧困解消や環境保全のための活動を続けている、PRRM(Philippine Rural Reconstruction Movement、フィリピン農村復興運動)のアドボカシー・開発協力ディレクター、レベッカ・マライ氏より、コメントをいただきました。新型コロナウイルスの影響で、過去30年で改善されてきた貧困と格差解決の進捗が10年ほど遅れる可能性があること、貧困層や取り残された人々がこのパンデミックに一番影響を受けていることに警鐘を鳴らされました。IT(情報技術)はこのパンデミック下で世界中をつなげる大切な技術である一方、人権などへの影響はあまり議論されていないことにも懸念を示され、技術は、1.現地の人々の需要に応じるべき、2.コロナ下では、公衆衛生的介入などが優先されるべき。特に女性のエンパワーメントが大切。3.(特に無料の)インターネットアクセスを普及させていくべき。とお話いただきました。

続いて、最新の技術が最貧困層に与える影響をモニターしているETCグループ(Action Group on Erosion, Technology and Concentration)代表のエレニータ・ダニョ氏にコメントをいただきました。ダニョ氏は、技術を使って持続可能な世界をもたらそうという試み(環境問題の解決など)が過去数十年にわたりされてきたが、状況は悪くなるばかりであることを指摘し、参加型の技術評価を行わなければ、最先端技術はさらに地球にダメージを与える可能性があると警鐘を鳴らしました。

最後に、一般社団法人SDGs 市民社会ネットワーク(SDGsジャパン)代表の稲場雅紀氏よりコメントをいただきました。新型コロナウイルスに対処すべく、さまざまな技術開発がされている中で、大企業による知的財産の独占や新しい技術への不平等なアクセスについて注意喚起されました。新型コロナウイルスの予防・診断・治療等の技術は、すべての人にとって手が届くものでなければいけないこと、マスクや手洗いなどいわゆる「ローテク」な技術も必要であること、また、コロナで重症化する持病をもたらす環境についての取り組みもされなければいけないことを提起されました。
今回はAPEXとして初めての試みでしたが、さまざまな方々の助けを借りて、盛況のうちに無事終えることができました。ご協力そしてご参加いただいたみなさま、本当にありがとうございました。
(ジェンキンソン 陽(みなみ))
【このイベントの録画】
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