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インドネシアを中心に活動を行う特定非営利活動法人 APEXのスタッフ日記です。ここに書かれたことはスタッフの個人的見解であり、APEXの公式見解とは異なる場合があります。

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ジャワ島中部地震、障害者支援の現場を訪ねて

 2006年5月のジャワ島中部地震の際には、5700名以上の死者とともにおびただしい負傷者が発生しました。その中には障害の残る方も多く、地震により障害者となった方は、病院等に登録されているだけで約2,400人程度(ジョクジャカルタ特別州及び中部ジャワ州クラテン県、ディアン・デサ財団調べ)といわれています。ディアン・デサ財団は、それらの方々の困難を少しでも和らげるため、2006年10月より、障害者向けの住宅供給(衛生設備を含む)の活動を始めています。募金受付終了後も2006年10月末から11月頭にかけて、JVC経由で追加のご寄付540万円余りを頂きましたが、このご寄付は障害者向け住宅供給活動などに使われています。これまでの支出済み金額は18軒分のトイレ、壁、床部分の建設費として、約7000万ルピア(約93万円)です。その活動の現場を訪ねました(2007年1月13日)。

 バントゥル県セウォン郡ティンブルハルジョ村のトモジョドキラさんは、庭でベンチに腰掛けて、鍋を焚き火であたためていました。もう60歳くらいの女性ですが、地震の際右足の骨を折り、さらに股関節を脱臼したそうです。手術をして以前よりよくなっていますが、足が不自由です。7人の子供がおり、娘さんの一人と一緒に暮らしていますが、娘さんは離婚しており、洗濯を請け負うなどして、細々と生計を立てている状態。トモジョドキラさんのご主人はもう高齢で働いていないとのことです。ディアン・デサ財団の援助で、手すりのついたトイレと、軽量鉄材でできた住宅が建っていました。トイレは使いやすく、軽量鉄材の家は地震が来ても壊れないので安心して住めるといっていました。

ティンブルハルジョ村のトモジョドキラさん(中央)と娘さんトモジョドキラさん用のトイレトイレの内部。手すりがついている
(左の写真)ティンブルハルジョ村のトモジョドキラさん(中央)と娘さん。
(中央の写真)トモジョドキラさん用のトイレ。
(右の写真)トイレの内部。手すりがついている。

軽量の鉄材で建てた住宅(テントの後方)住宅の内部
(左の写真)軽量の鉄材で建てた住宅(テントの後方)、(右の写真)住宅の内部

 バントゥル県プンドン郡スリハルドノ村のパイマールさん(男性、35歳前後)は、地震前は自動車販売会社の社員だったのですが、地震で奥さんと3人の子供を亡くし、自らも脊椎の損傷で下半身不随となる重症を負いました。今はお母さんと二人で暮らしていますが、老齢のお母さんも足を骨折し、歩くのが不自由です。ディアン・デサ財団の援助で、手すりつきのトイレと家の前にスロープのついた住宅が建っていました。近所の人たちが交代で食事の世話などをしているそうですが、きわめて厳しい状況であると感じました。

スリハルドノ村のパイマールさんのお母さんパイマール家用住宅。スロープがついている。屋根も軽量につくってある。
(左の写真)スリハルドノ村のパイマールさんのお母さん
(中央の写真)パイマール家用住宅。スロープがついている。
(右の写真)屋根も軽量につくってある。

 同じくスリハルドノ村に住む青年ワギヨさんは、まだ未婚の青年で、建築労働者として働いていましたが、地震により脊椎を損傷し、下半身不随となり、車イスで生活しています。地震に対するトラウマがあり、いまだにテントで暮らしていますが、ディアン・デサ財団の援助で壊れる心配のない家が建ったところで、近々そちらへ移るそうです。

スリハルドノ村のワギョさんワギョさんのための住宅とトイレ
(左の写真)スリハルドノ村のワギョさん 、(右の写真)ワギョさんのための住宅とトイレ

 地震によって突然障害者となった方々の喪失感、その置かれている状況の厳しさには言葉を失うものがありますが、インドネシアにはまだ地域の人々がお互いに助け合う伝統が生きていることで少し救いも感じました。今後、JVC経由で頂いたご寄付の残りは、同じく障害を受けた方々の住居/トイレ15軒余りの建設とともに(今後は、建設資金の全部がまかなわれますので一軒当たり1600万ルピア(約21万円)程度かかります)、5000ドル(総額)を限度に、それらの方々の精神的苦痛を和らげるべく、主婦などがそれらの障害者をボランティア訪問する際の交通費ならびに手みやげ代としても活用されることになっています。

(APEX 田中直)


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コメント

感謝

彦坂さん、お答ありがとうございます。

実は今四川省の5.12大地震で障害者となった方に対する生活サポート、就職サポートの施策提案の研究が中国障害者協会から依頼されています。日本は地震の多い国だけど、阪神大震災、2004年新潟県中越地震においても、2007年の新潟県中越沖地震においても、地震により障害者となった方が少ないみたいし(そのデーターは見つけませんでした)、その方々向けの政府によるサポート施策も見かけませんでした(障害者全体に対するサポート策があるけど)。APEXから貴重な情報、ありがとうございます。
また地震により障害者となった方に対する生活サポート、就職サポートの施策、或いはそれらの関連情報がご存じであれば(国と団体は問いません)、是非お教えください。
どうも、失礼しました。

お答え

zhouaoi さん、コメントありがとうございます。APEXの彦坂と申します。

インドネシア政府による支援については、ジャワ島中部地震被災者への住宅支援金(http://apex.blog22.fc2.com/blog-entry-64.html)でも書いていますが、全壊~重度損壊の家に一軒当たり1500万ルピア(約20万円)が支給されています。しかし、地震直後で材料が不足(高騰)していたこともあり、その額では十分ではありません。また障害者となった方には特別なトイレなどが必要なため、APEXの協力先団体のディアン・デサ財団が他の機関(一部はAPEX)から資金を得て支援を行っていました。

申し訳ありませんが、日本政府からの障害者の方向けの支援につきましては私どもの方では存じ上げません。

お訊ね

政府(インドネシア)による支援策がないのでしょうか?
日本政府は地震により障害者となった方に対して、どんな生活サポート、就職サポートの施策を行われているのでしょうか?

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