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インドネシアを中心に活動を行う特定非営利活動法人 APEXのスタッフ日記です。ここに書かれたことはスタッフの個人的見解であり、APEXの公式見解とは異なる場合があります。

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誰のための、誰にとっての持続可能性か?

先週の土曜日に九州工業大学主催の「環境と社会にやさしいパームオイル産業とは」というフォーラムに参加してきました。マレーシアパームオイル協会、RSPO(持続可能なパームオイルのための円卓会議)、サラヤ株式会社(洗剤メーカー)、NPO法人産業社会ネットワーク(BIN)というステークホルダー4団体の方がパネラーとして招かれていました。

アブラヤシから搾油されるパームオイルは、8割以上がインスタント食品やショートニング、マーガリン、揚げ油などの食品用として、残りは主に石鹸や洗剤など非食品用として利用されています。最近では、世界の人口増加や発展に伴い食品としての需要の伸びだけでなく、バイオディーゼル燃料としての需要の伸びが期待されています。しかし、その一方でプランテーションの拡大による森林破壊や農薬の使用、児童労働などの問題も懸念されています。このフォーラムは、パームオイルに関する様々なステークホルダーを招き、パームオイル産業の持続可能性について議論するものでした。

それぞれがそれぞれの立場で持続可能なアブラヤシについて論じているのですが、同じ持続可能性という言葉を使っていても、私には若干食い違いがあるように感じられました。持続可能性は主に、環境的に持続可能(環境に負担をかけてはいけない)、経済的に持続可能(産業として成り立たないといけない)、社会的に持続可能(現地の人々に受け入れられないといけない)という3つの要素があると思います。

パネルディスカッションを聞く限りでは、マレーシアパームオイル協会の方もRSPOの方も上の3要素とも尊重してはいますが、どちらかというと経済性重視、BINの方はどちらかというと環境重視のように感じられました。

最近は持続可能な開発という言葉が良く使われますが、良いイメージのみ先行していて個々の人によってとらえ方が異なるからではないでしょうか?

もともと環境と経済という一般には相反するものが入っており、環境への負担に対する経済コストもきちんと確立されていない状況では難しいかもしれませんが、誰(経営者or住民or地球)にとって持続可能なのかを考えることが大事なのではないかと思いました。
例えば、マレーシアではゴム園や米、大豆、とうもろこしなどの農地をアブラヤシのプランテーションに転換して、食料を海外から輸入しているそうです。農地を転換しているだけで森林を含む緑地面積は変化しておらず、二酸化炭素吸収量は変化していないので持続可能だとパームオイル協会の方はおっしゃっていました。しかし、農地の転換は食料自給率の低下につながり、食料を遠隔地から輸入するのでフードマイレージ(食料の輸送距離)も増加しますが、持続可能なのでしょうか?

また単純に現金収入を増やすことが、持続可能な開発でしょうか?自給自足で暮らしていた森の民をアブラヤシのプランテーションで雇用することが、貧困から救い出すことでしょうか?グローバル化の荒波に陥れているのではないでしょうか?江戸時代、日本は鎖国政策をとって海外との国交を制限していました。欧米諸国の植民地化や産業革命には無縁でしたが、持続可能な社会ではなかったということなのでしょうか?これらのことは、外部の人間が評価するものではなく、本人でないと分からないことかもしれません。

そもそもパーム油の需要ありきでよいのかどうか。最近のパーム油の需要の伸びは、主にインスタント食品や冷凍食品、外食産業の需要の増加を反映したものだと思います。外食や中食(惣菜や弁当)などに頼った食生活が持続可能なのでしょうか?

国際協力も同様ですが、誰のための誰にとっての持続可能性なのか、また持続可能な生産のみではなく持続可能な消費についても考えていかなければならないと思いました。

(APEX彦坂)
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